総務省は小型家電リサイクルの実態調査を公表。実施自治体の15.3%で損失発生。大規模自治体ほど実施率は高いが、1人当たり回収量が低い傾向。回収目標に達せず、再資源化は未だ不十分、自治体の今後の経営努力に期待。
総務省は先月21日、「小型家電リサイクルの実施状況に関する実態調査、<結果に基づく勧告>」を公表した。小型家電リサイクル法は2013年に携帯電話、デジタルカメラ、携帯音楽機器やゲーム機器などの貴金属や希土資源を含む小型家庭用電子機器の不適切廃棄による環境汚染の防止とレアメタルやレアアースなどの希土類や貴金属資源の再資源化を目的に施行された。
調査結果によれば2016年4月時点で、全国1735区市町村の内、小型家電リサイクル事業を「実施中」の自治体の割合は70.3%、「実施に向けて調整中」が6.2%、「実施するかしないか未定」が16.3%、「実施しない」が7.2%となっている。実施中の自治体の割合は13年4月時点で19.6%、14年4月に43.3%、15年4月に61.6%、16年4月に70.3%と着実に増加している。
回収状況をみると、15年度の市町村による回収量は4万7942トン、一人当たり0.38kg、認定事業者の直接回収量は1万9036トンで、一人当たり0.15kg、両社の合計は6万6978トン、一人当たり0.53kgとなっている。基本方針の目標では15年度までに回収量年間14万トン、一人当たり年間回収量1kgであるので目標からは程遠い実績である。
実施状況を区市町村の規模別でみると、政令指定都市で実施率95%、人口10万人以上で86.8%、人口5万人以上10万人未満で84.9%、人口5万人未満で62.8%となっており、規模の大きな自治体ほど実施率が高くなっている。1人当たりの平均回収量を自治体の規模別で見ると、政令指定都市が0.08kg、10万人以上で0.46kg、5万人以上10万人未満で0.90kg、5万人未満で0.92kgと人口規模の大きな自治体ほど1人当たりの平均回収量は少ない傾向がみられる。
15年度において、回収から運搬、売却までの取引全体の損益の状況をみると、取引全体の損益を把握している85自治体の内、取引全体で「利益がでている」は78.8%、「損益がゼロ」が5.9%、「損失」が出ている自治体は15.3%も存在する。
この実態調査を前提に総務省では回収方法等、事業改善にむすびつく具体的な勧告を出している。日本は天然資源では無資源国家とも言われるが、使用済みの家電製品が膨大に存在し、それらは都市鉱山とも呼ばれ膨大な再資源化の可能な資源を保有している。家電リサイクル事業は現段階では目標値に遠くおよばず十分再資源化されていないのが実態のようである。自治体の今後の経営努力に期待したい。(編集担当:久保田雄城)