軍事利用が明らかな研究を中止せよ 筑波大へ

2020年02月04日 07:00

 筑波大学は軍事利用が明らかな研究を中止せよ。防衛省の公募研究に応募・採択された筑波大学に対し、学者や市民団体が中止を申し入れる署名活動を始めた。2月7日まで署名を受け付け(第1次締め)3月初旬に永田恭介学長に強く中止を申し入れていく。呼びかけ人は池内了氏や香山リカさんら「軍学共同反対連絡会」の人ら。

 呼びかけによると「学問研究の目的は真理の探究を通し、人類の平和と幸福の増進に貢献することにある。人と人が殺し合う戦争は人類の平和と幸福を破壊する最たる行為で、学問研究が戦争に協力することはあってはならない」と断じた。

 また「前の戦争で科学者が全面的に協力した結果、想像を絶する惨禍をもたらしたことへの痛切な反省に立って、日本学術会議は軍事研究との訣別を誓う声明を1950年、67年の2度に亘って発表し、2017年3月にも両声明を継承するとする声明を発表した」。

 「軍事利用が明白な制度に最高学府である大学が応募することは学問研究を本来の目的から逸脱させ、軍事協力を推進し、軍事研究との訣別を誓った先人の痛切な反省を無にするもの」と批判。

 そのうえで「貴学は2019年、防衛装備庁安全保障技術研究推進制度Sタイプ(大規模研究課題、5年間で20億円以内の供与)の2次募集に応募し、採択された。制度が発足した2015年以来、Sタイプに採択された大学は貴学が初めて。今回採択された貴学の研究テーマは『高強度カーボンナノチューブを母材とした耐衝撃緩和機構の解明と超耐衝撃材の創出』。様々な兵器や防衛装備品において衝撃に耐える素材の開発は極めて重要な意味を持っており、これを民生にも使える基礎研究と考えようと、防衛装備庁が20億円も出すのは兵器や装備品に利用するためにほかならない」。

 「私たちは貴学の安全保障技術研究推進制度への応募・採択に強く抗議し、採択された研究を中止するよう申し入れます」としている。署名協力の連絡先は「ngakjk@yahoo.co.jp 野田隆三郎」となっている。(編集担当:森高龍二)