安倍政権下で歯止めなく拡大が続く「防衛予算」の問題が31日の参院予算委員会で取り上げられた。立憲民主党の石橋通宏議員は「本来、年度当初予算案に入れるべきものを、わざわざ補正に付け替えることで、予算規模を(少しでも少額になるよう)ごまかすような組み方」をしていると問題提起した。
安倍政権で防衛予算は2014年度当初予算が4兆8848億円と過去最高を更新したが、補正でさらに2038億円を追加。合計5兆886億円になった。その後も毎年、過去最高を更新し、18年度は5兆1911兆円となり、これに補正で4482億円を追加。総額は5兆6393億円に上った。さらに19年度も過去最高を更新し、20年度予算案でも過去最高を更新する「5兆3133億円」になっている。
石橋議員は防衛省の今年度の補正予算案(4287億円)のうち、ミサイルや戦闘機などの「兵器ローン」の返済が3807億円と89%を占め、そのうち1773億円は米国政府の対外有償軍事援助、FMS調達の支払いに充てられていることから、当初予算に入れて議論すべきものだ」とした。
安倍晋三総理は「当初予算成立後も刻々変化する安全保障環境や自然災害への対応のため緊要性のある経費を計上している」などと答弁したが、予算成立前から把握できるものが含まれていることから事実と乖離。石橋議員は「総理の答弁は完全に破綻している」と補正への付け替えを批判した。
補正予算でなく、本来、当初予算に入れるべき案件ではないかと、する問題は31日の河野太郎防衛大臣記者会見でも記者団から提起された。記者団は「おおむね4300億円の補正予算のうち、ほぼ4200億円近い額は装甲車を買ったりするなど、いわゆるお買い物予算になっている。そもそも補正の予算の趣旨に反するのではないか」と質した。
河野防衛大臣は「当初予算編成後に北朝鮮のミサイルが20発以上撃たれたり、中露の爆撃機の共同飛行なり、安全保障環境が変わっている中で、装備品を1日でも早くしっかりと取得して運用を開始するという緊要があるから」などと答えた。(編集担当:森高龍二)