日本弁護士連合会の菊池裕太郎会長は広島高裁が四国電力伊方原発3号機の運転差し止め仮処分の決定を言い渡したことを受け、5日までに決定を高く評価する会長声明を発表した。
菊池会長は「東京電力福島第一原発事故後、原子力発電所の安全確保に問題があるとして差止めを認めた事例としては5例目となるが、広島高裁の決定は地震・活断層の影響評価、火山噴火規模の可能性の双方に関する争点で高等裁判所において初めてその危険性を認めたものであり、その意義は大きい」としている。
菊池会長は「今回の決定では『ある問題について専門家の間で見解が対立している場合には支配的・通説的な見解であるという理由で保守的でない設定となる見解を安易に採用することがあってはならない』と判示した点が重要」と指摘。
その視点から「今回の場合、活断層については伊方原発の近傍にある中央構造線断層帯について、事業者が想定するよりも近い位置に存在する可能性があるという専門家の見解があることを踏まえ、より慎重な評価が求められるのに、これを行っていない」としたこと。
火山についても「巨大噴火の可能性を否定できないという複数の専門家の見解があることを踏まえ、少なくとも巨大噴火に至らない規模の噴火を考慮しなければならないところ、これを行っていないとした」ことを評価した。
菊池会長は「日本弁護士連合会として四国電力に対し本決定を尊重することを求める」とするとともに「政府に対して従来のエネルギー政策を改め、できる限り速やかに原発を廃止し、再生可能エネルギーを飛躍的に普及させること、原発立地地域が原発に依存することなく自律的に発展できるよう必要な支援を行うよう強く求める」としている。(編集担当:森高龍二)