今年2020年は5G(第5世代移動通信システム)が日本国内でも本格化する見込みだ。世界のスマホ工場と言われる中国では既に昨年春から5Gがスタートしている。こうした中、米中貿易摩擦による中国経済の低迷を受けて世界経済も減速し世界のスマホなど移動体通信端末市場の動向が注目される。さらに昨年暮れより武漢を発生源とする新型コロナウィルスの感染が広まり、この影響で中国経済の停滞はさらに深刻かつ長期化する様相だ。
12日、矢野経済研究所が日本を含む世界の32カ国1地域の携帯電話サービス契約数やスマートフォンやフィーチャーフォンの市場を調査し、その結果を明らかにしたレポートを発表した。
レポートによると、国内市場ではサービス契約数が伸び悩む中「格安スマホ」人気を背景に普及価格帯のスマートフォンが人気を集めておりフィーチャーフォンからの移行が進んでいる模様だ。18年度の国内移動体通信端末のメーカー出荷ベースでの出荷台数は3786万5000台、19年度は18年度を168万台下回る3618万5000台の見込みだ。
19年10月には電気通信事業法の一部改正が行われ「端末と契約の分離」が徹底しビジネスモデルが大きく変化したなどの背景により、通信事業者各社は手頃な価格帯のスマートフォンのモデルや新たな販売モデル導入などの工夫を図っている状況のようだ。
一方、世界市場を見ると、先進国では横這い状態が続いており現在の世界市場は新興国での拡大が中心になっているが、ASEAN市場、インド市場、アフリカ市場向けのスマートフォンで増加が見られるものの、最大の市場である中国の市場飽和、経済の伸び悩みによって大幅な減少が見られ、この減少分が他の新興国の増加分を上回っている状況だ。
スマートフォンのみでも新興国での需要は拡大傾向にあるものの先進国では頭打ちとなっているうえに、最大の中国での需要が急速に落ち込み横這い状態が続いている。19年の世界でのスマートフォンの出荷台数は、ASEAN市場、インド市場、アフリカ市場では低価格スマートフォンの需要が旺盛なものの中国の落ち込みが大きく他の増分を上回っているため14億1348万5000台、前年比99.7%と減少が見込まれている。
今後の展望についてレポートは「スマートフォンは5G対応製品の導入や普及価格帯の充実などにより持ち直すものの」微増の見通しと予測している。(編集担当:久保田雄城)