今年2020年は5G(第5世代携帯電話サービス)導入が本格化する見込みだ。高速・大容量通信である5Gの環境整備が進むにしたがい様々なサービスが拡大すると見込まれている。
この動きに伴い移動体通信事業者にとってXRが重要なサービスになる可能性が高く、その市場規模も今後急激に拡大すると期待される。XRとはVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などの技術の総称のことで、既にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使用したVRサービスなど市場はある程度の盛り上がりを見せている。
6日、矢野経済研究所が国内外のXR(VR/AR/MR)及び360°動画市場を調査し、その市場動向や将来展望についてレポートを発表した。
レポートによれば、19年の国内XR・360°動画市場規模は事業者売上高ベースで3951億円と見込まれ、当初の期待よりは緩やかな成長となっているようだ。成長が緩やかとなった要因としてはハードウェア、ソフトウェアの問題に加えビジネスモデルの構築が進んでいない事があげられている。
カテゴリー別にみると、ゲームが475億円、コンテンツ84億円、報道・広告・宣伝75億円、位置情報・旅行110億円、エンタープライズ204億円、医療・ヘルスケア85億円、教育・研修・トレーニング44億円、SNS8億円、制作・流通173億円、劇場・テーマパーク44億円、VR機器2569億円という内訳だ。
16年以降HMDを使用したVRが登場し、中でもスマートフォンを使用する「スマホVR」は大きな市場拡大が期待されたがGoogleの開発計画の凍結により先行きは不透明となった。18年に単独で動作するスタンドアローン(自己完結)型HMDがリリースされ、19年は6DoF(3次元トラッキング)に対応した上位モデルが導入されたことでHMDの出荷台数は大幅に増加する見通しとなった。
今後の動向については、5G導入の本格化により高速・大容量通信の環境が整備され、個人による360°動画のリアルタイム配信も可能になるなど、XR、360°動画市場にとって大きな環境変化となり市場の拡大は加速すると見込まれている。今年20年の市場規模は4955億円と予測されるが、エリアカバレッジなど今後の環境整備を追い風に25年には1兆1952億円と18年比で3倍にまで達すると予測されている。(編集担当:久保田雄城)