世界最大のカーエレクトロニクスの祭典。世界初の給電タイヤなど未来を超えた未来の技術

2020年01月19日 10:22

インホイールモーター

東京大学、ローム、ブリヂストン、日本精工、東洋電機製造らが共同で開発に成功した「ワイヤレスインホイールモーター」

 今年もカーエレクトロニクス分野では世界最大規模を誇る、第12回[国際]カーエレクトロニクス技術展が、1月15日から17日の3日間にわたって、東京ビッグサイトにて催され、盛況のうちに幕を下ろした。

 同展示会は、近年、注目が高まるカーエレクトロニクスの進化を支える心臓部ともいえる半導体や電子部材、ソフトウェア、テスティング技術などが一堂に出展する本分野 世界最大の専門展。日本のみならず、世界中の企業が集い、技術相談や商談が行われる、いわばカーエレクトロニクス産業の最前線だ。

 今回は、全ての交通手段を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念といわれている MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)の実現に向けた「MaaS フォーラム」のほか、「オートモーティブ ソフトウェア フォーラム」も新設された。それに伴って、ソフトウェア検証ツールやサイバーセキュリティなどの関連技術も多数出展され、ソフトウェア関連技術の導入を見越した参加者で大いに賑わった。また、「CASE(コネクティッド、自動運転、シェア&サービス、電動化)スタートアップフォーラム」 も開催され、注目企業が一同に会した。

 自動運転技術関連では、アイサンテクノロジー社〈4667〉が自動運転車のトラブル対応を総合サポートする新サービス「コネクテッドサポートセンター」を初公開した。また、 アリババが支援する自動運転車のスタートアップであるAutoX(オートエックス)社が、独自開発した360°マルチセンサー高精度融合技術を紹介するなど、最先端のレベル4自動運転を見据えた技術も多く展示され、車社会が大きな変革期を迎えていることを実感させられた。

 そんな中、注目されていたのが、東京大学がローム〈6963〉、ブリヂストン〈5108〉、日本精工〈6471〉、東洋電機製造〈6505 〉らと共同で開発に成功した、新型の「ワイヤレスインホイールモーター」だ。

 電気自動車(EV)の普及課題である、航続距離と車両価格。この2つの難題を解決するものとして期待されているのが、地上に設置された送電コイルからワイヤレスで給電が行える、走行中充電だ。

 走行中充電が実現すれば、給電ステーションや家庭等での給電の手間もいらず、航続距離の課題は消え失せる。さらに、車内に搭載する蓄電池の容量を大幅に減らすことができるので、車両価格の低減、車両重量と車載スペースの減少にまでつながるという大きなメリットもある。

 開発チームは2015年に第一世代となるインホイールモーターへのワイヤレス給電システムの開発と実証に成功して以来、改良を続け、ついに電気自動車の駆動装置であるモーター・インバータと、走行中ワイヤレス給電の受電回路のすべてをホイール内の空間に収納するIWMユニットの開発に成功。世界で初めて、受電から駆動までのすべてをタイヤのなかに納めてしまったのだ。単純にモーターまでの距離が短くなることで電気の利用効率はあがるうえに、従来のモーター設置スペースが縮小されるため車内空間も広くとれるという。しかも、モーター性能も軽自動車クラス(1輪あたり12 kW)だったものから、今回展示された第3世代では乗用車クラス(1輪あたり25 kW)と飛躍的な成長を遂げている。

 他にも、会場ではAI技術や5Gを活用した製品やソリューションなども目立ち、例年にも増して活気のあるカーエレクトロニクスの祭典となった。10年後、いや3年後の未来ですら、もう予測不可能なほど、カーエレクトロニクス技術は加速している。未来を超えた未来の技術がそこにあった。(編集担当:藤原伊織)