環境問題をもっと身近に! 地球環境大賞から考えたい、今の私たちにできること

2020年03月08日 09:27

木のストロー

1992年、「産業の発展と地球環境の共生」を目指し、WWFジャパンの特別協力を得て創設された地球環境大賞は、今年で29回目を迎えた

「地球環境問題」という言葉を聞くと、何だか壮大すぎて、一個人の考えや民間企業の行動だけでは何ともならないような気持ちになる方も少なくないだろう。確かに地球が抱える問題は数多くある為、正直どこから手を付けて良いものやら分からない。そこで民間でも貢献できる一つの手段となるのが「地球環境大賞」だ。

1992年、「産業の発展と地球環境の共生」を目指し、WWFジャパンの特別協力を得て創設された地球環境大賞は、今年で29回目を迎えた。顕彰制度の対象も、産業界をはじめ、自治体や学校など多岐にわたる。歴史や内容もさることながら、受賞した企業がそれぞれの得意分野で受賞しているという点に注目したい。

今年度の地球環境大賞に選ばれたのは、世界初のリアルタイム被害予測ウェブサイト「シーマップ」を開設・無償公開した、あいおいニッセイ同和損害保険・エーオンベンフィールドジャパン・横浜国立大学である。同サイトは、あらゆるデバイスから24時間365日閲覧可能で、現在発生中の自然災害の予測結果を地図上に表示し、被害状況や予測から住民避難や自衛隊などの救援の情報として活用できる。これまでに損害保険会社で蓄積されたデータをシステムとして役立てた画期的なものであることが評価された。

また、経済産業大臣賞を受賞したのは、国内インクジェットプリンター市場でトップシェアを誇るセイコーエプソン(株) が開発した最小限の環境負荷を実現する「インクジェットイノベーション」だ。熱を使わずインクを吐出する独自のマイクロピエゾ技術をベースにし、印刷1枚あたりの消費電力量が従来の約8分の1と大幅な省エネを実現したことが評価された。

 そして、自社の得意分野をユニークな形で活用して農林水産大臣賞を受賞したのが、木造注文住宅メーカーのアキュラホームだ。同社は、海洋プラスティック問題で取り沙汰されるストローに着目。木造住宅メーカーならではの発想で、カンナ削りの技法を用い、間伐材から木のストローを創り出した。住宅とストロー。一見、何の交わりも無さそうなこの2つを見事な発想の転換で結びつけたところが大きく評価された。

 「地球環境問題」の全てに対して取り組んでいくのは難しい。個人レベルでは尚更だ。しかし、自分が携わっていることや、得意分野を利用すれば、少しずつでも取り組むことは出来るのではないだろうか。これまでに培ってきたことをそのまま活かしてもいいし、アキュラホームのように発想の転換次第では、新しい方法が見つかるかもしれない。

 得意分野がそれぞれ違うように、「地球環境問題」に対する取り組み方も、それぞれ違って良いのだ。個人や企業、それぞれの得意を少しずつ持ち寄れば、地球の未来のためにできることは、まだまだあるのではないだろうか。(編集担当:今井慎太郎)