安倍晋三総理はG7首脳会議後の記者会見で、世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中で懸念される東京オリンピック・パラリンピックの開催について「人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証として、東京オリンピック・パラリンピックを完全な形で実現するというところでG7の支持を得た」と強調した。
また安倍総理は「新型コロナウイルス感染症との闘い、大変手ごわい相手だが、G7でしっかり一致結束して国際社会とともに闘っていけば、必ず打ち勝つことができるとの認識で一致できたと考えている」とも強調した。
しかし、私権制限もできる「緊急事態宣言」までしなければならないような事態に日本国内での感染が広がりを見せるようであれば、その前に東京オリンピック・パラリンピックの中止や延期は避けられない。
東京オリンピック・パラリンピックの開催の中止や延期、規模縮小での開催など、こうした判断時期のタイムリミットはいつ頃になるのか。今月14日の総理の記者会見の記者団の問いに、総理は「26日に福島を訪れ、聖火リレーのスタートに立ち会わせていただきたいと考えている」とし「IOCともよく連携をしながら、また、当然、IOCもWHO(世界保健機関)と緊密に連携をしているわけであり、我々としては、とにかくこの感染拡大を乗り越えて、オリンピックを無事、予定どおり開催したいと考えている」と強調した。
総理答弁からは開催したい思いが前面に出るばかりで「IOCとともにWHOの助言に従う」との発言や判断時期のタイムリミットに自身の考えを示すこともなかった。完全な形でのオリンピックとは世界各国から選手団や観客を迎えての大会を意味するのだろうが、開催国の責任として治療薬や感染拡大の終息なくして開催は許されないとの認識こそ必要だろう。(編集担当:森高龍二)