コロナウイルスの感染拡大でビール売上激減、あのスーパードライもマイナス28%

2020年04月12日 11:51

Beer Sale Gain

新型コロナウイルスの感染拡大で、ビール4社が4月10日発表した3月のビール系飲料の販売量は、前年同月比で13%減少

 新型コロナウイルスの感染拡大が、否応なく料飲店の運営を圧迫する。同時にビール消費へ逆風が強まっている。

 2月はコロナウイルス感染防止のための外出自粛など自宅で過ごす時間が増え、昨年10月の消費増税以降、ビール系アルコール飲料販売が5カ月ぶりプラスに転じた。推計ではビールと発泡酒は前年並み、新ジャンルは2%程度増えた。家庭向けの新ジャンルを中心に消費が増える一方、料飲店向けは宴会などを控える動きが出始めてもいた。

 結果としてビール4社が4月10日発表した3月のビール系飲料の販売量は、前年同月比で13%減少。3月のビール系飲料の4社販売量は、前年同月比で割安な第3のビールがほぼ横ばい、発泡酒が3%減だった半面、ビールが27%減と大きく減った。

 アサヒグループHD広報によれば、同社代表銘柄のビール「スーパードライ」は前年同月比72%と、リーマンショック後の2009年2月以来の落ち込みを記録。業務用を中心に売上減が進んだ。洋酒の売上金額も飲食店向けの「ブラックニッカ樽詰めハイボール」の売上減少などにより、前年比97%だった。首都圏などに緊急事態宣言が発出され、4月はさらに需要が冷え込む見通しだ。

 メーカー別でビール系飲料販売が最も落ち込んだのは前年比75%のサントリービールだ。アサヒビールは金額ベースで81%。キリンビールは第3のビールが下支えして95%にとどまった。サッポロビールも第3のビールに支えられ89%だった。

 各社の予想では、4月10日の緊急事態宣言で外出を控え、家飲み用に買い込む酒類は、第3のビールやさらに割安なRDTの缶酎ハイなどに移行している。とりわけアルコール度数が9%程度と、5%のビールを上回る“ストロングタイプ”といわれる缶酎ハイの人気が高い。

 ビール各社は利益率の高いビールの下落を食い止め、缶酎ハイの販売増で乗り切りたい考えだ。が、料飲店の営業はさらに厳しい自粛に追い込まれ、ビール系飲料の販売減は続きそうだ。

 ビールメーカーは自社商品を扱う飲食店に経営支援のため資金を提供するケースも考えられるが、休業が長期化すれば個人店を中心に経営が危ぶまれる店舗が増える。(編集担当:吉田恒)