政府のインバウンド戦略、訪日外国人客引き込み戦略は計画を上回る実績で好調に推移してきた。昨年2019年は外交上の問題で韓国人客が激減したものの3000万人を突破し、史上最高を記録した。訪日客の3割は中国人であり、爆買いとも言われたように観光目的の主なものは買物で中国人客の消費額はインバウンド消費額全体の3分の1を占める。
こうした中でドラッグストアの売上高に占めるインバウンド需要は大きなものとなっていた。しかし、昨年12月、中国武漢から始まった新型コロナウイルス感染症の影響で1月下旬に日本への団体旅行が禁止になったほか世界各地からの訪日客も減少しドラッグストアの売り上げにも大きな影響が出ている模様だ。
3月31日、マーケティング業のトゥルーデータが全国ドラッグストアのPOSデータによる2月のインバウンド消費動向調査の集計結果を公表している。
レポートによれば、2月のドラッグストア1店舗あたりのインバウンド消費購買金額は前年同月と比べ59.9%の減少と大きな落ち込みになっている。今年はうるう年のため1日分を調整して同日数で計算しなおすと61.3%の減少だ。
一方、国内消費は新型コロナウイルス対策の影響で除菌・殺菌などのカテゴリの需要が増加し前年同月と比べ16.1%の増加となっている。うるう年の1日分を調整した前年同月比は12.1%の増加となる。新型コロナの影響でインバウンド関連が大きく落ち込んだ一方で感染対策関連の売れ行きが伸びているようだがトータルでは大幅な減少のようだ。
売れ筋商品の顔ぶれも1月とは一変したようだ。1月には春節休みの団体旅行客がマスクを大量に買い込んでいたが、2月には品薄状態が続いたため売れ筋の順位を落としている。これに変わって季節商品のUVケア商品や体調管理、栄養を補給する商品が急上昇している。
トップ30をみると、1位は前月と同様フェイスクリームだが、2位はUVケアで先月の圏外から突如2位となっている。注目すべきは、7位のビタミンC健康食品や8位のかぜ薬などが順位を上げている。また15位の鎮咳去たん薬、16位のビタミン含有保健薬なども新型コロナの影響を連想させる。
中国のみでなく、現在は世界的に海外旅行を控える動きとなっており、ドラッグストアもしばらく厳しい状況が続きそうだ。(編集担当:久保田雄城)