関西電力は28日、筆頭株主の大阪市、松井一郎市長が元大阪市長で弁護士の橋下徹氏を社外取締役にするよう求めた案件を拒否した。
原発事業を巡り関電幹部らは福井県高浜町の元助役から計3億6000万円もの金品を受領していた問題をはじめ、電気料金値上げの際に消費者の理解を得るため役員報酬を減額するとしながら、値上げ後に裏で補填していた問題など、およそ「公益性」の高い企業としてのモラルを疑う行為を繰り返してきた。
「公益性より保身の姿勢」「企業利益最優先」「未だに原発依存の体質」といった企業体質から利用者目線に立つ企業に体質を改善する気が本気であるのか、疑問の残る結果になった。
松井市長は「社の体質を変えようという姿勢は上っ面だけだ」と強く批判した。そのうえで「役員報酬など経営の透明性を徹底して求めていく」とし「株主代表訴訟を視野に検討している。連休中に判断したい」と述べた。
関電側は橋下氏が「筆頭株主である大阪市と関係が深い」「大阪維新の会と関係が深く、公益性の高い関西電力の社外取締役には適任でない」などと拒否した理由にあげているが『公益性』に反して幹部らが多額の金品を受け取り、原発をめぐり大きくモラルを外してきた当事者は関電だった。そこからすれば、関電の理由にはまったく説得力がない。今後は世論の期待にこたえて松井市長が株主代表訴訟に踏み出すかどうかが注目される。(編集担当:森高龍二)