検察官の定年を一律65歳に引き上げ「内閣が定める事由があると認めるときは」検事総長らの定年を段階的に68歳まで延長できるとする検察庁法改正をめぐり、SNS上で500万人を超える人らが「反対」の声をあげ、日本弁護士連合会や元検事らも「司法の中立性が損なわれる」として反対の声をあげる中、菅義偉官房長官は12日の記者会見で「ネット上で様々な意見のあることは承知しているが、政府としてコメントすることはさし控えたい」と国民の疑問や懸念に答える責任から逃げた。
菅官房長官は「一般の国会公務員の定年の引き上げに合わせて、検察官についても定年を65歳まで段階的に引き上げるもので(検察庁法改正案の)内容に問題があるとは、考えていない」と述べた。
政府が認めれば検察庁の定年を最長3年間延ばすことができることになるが、対象者の割合についてはどう想定しているのか、ごく一部が対象かと問われ、菅官房長官は「延長にあたって、その事由となる要件に該当する場合のみが対象になると承知している」と述べたが、具体的に「事由となる要件」についての説明がなかった。
現行の改正案では、内閣に基準が白紙委任されている状況で、客観性に欠ける重大問題を含んでいる。またそもそも定年延長を内閣が定める事由で決めるとすれば官邸に忖度する状況が生じるのは避けられず『検察官の政治的な中立性が危ぶまれる』。
菅官房長官は12日の記者会見で「国会審議で丁寧な説明を進めている」などとしたが、司法の政治的な中立性を担保できない懸念は深めるばかり。検察庁法改正は見送るべき。(編集担当:森高龍二)