新型コロナウイルス感染症対策として2月下旬からイベントや不要不急の外出の自粛、さらに4月から緊急事態宣言に伴う全業種一斉休業要請が行われた。この過程で膨大な需要が蒸発し年度末ということもあり多くの企業が資金繰り困難な状況に追い込まれた。
平時においてプールすべき必要な現金預金は月商額の1.5カ月分とも言われてきたが、緊急事態宣言だけでも2カ月、2月下旬からの自粛期間を含めると3カ月という長期にわたって収入のない事業者も多数現れた。4月時点でコロナ関連倒産は急増し、「5月一杯はもたない」という事業者からの声も多く聞かれたが、緊急事態宣言は5月も延長となり、6月には負債額1000万円を超えるコロナ関連倒産だけで月間100件を超える事態に至っている。
14日に与信管理サービスのリスクモンスターが2月1日~6月23日の期間で独自に集計した倒産企業275社をサンプルに実施した「倒産企業分析調査」の結果レポートを公表している。
レポートによれば、2月から6月に倒産した企業について業種別に集計した結果では、「宿泊業」が13.8%で最も多く、次いで「飲食店」の13.5%、「アパレル関連業」11.6%、「食料品製造業」8.0%の順となっている。やはりインバウンド需要の喪失や外出自粛によって顧客を失った関連業種でのコロナ関連倒産が多いようだ。
資金繰りの安定性を計る指標として月商に対する現金や預金の保有割合を表す「現預金月商比」がある。通常この指標は1カ月以上あることが望ましいとされる。2月から6月までに倒産した企業の預貯金月商比の構成比を見ると、「1カ月未満」が67.5%と約7割を占め、やはり資金繰りが逼迫していた企業が多数を占めている。「1カ月以上2カ月未満」は15.1%、「2カ月以上」も17.4%と2割近くを占めており、自粛の長期化によって本来ならば倒産しなかった財務状態でも倒産した企業が少なくないようだ。
昨年度の数字を見ると「2カ月以上」の構成比は14.1%であったので、今年は3.3ポイントも増えていることになる。「1カ月以上2カ月未満」も昨年度が12.1%で今年は3.0ポイント増加しており、現金預金が1カ月以上あれば資金ショートは回避できるという平時の常識が通用しない状況のようだ。
現在もコロナ関連倒産の増加は加速している。持続化給付金の遅れも指摘されている。政府の資金繰り救援策の強化が急務だ。(編集担当:久保田雄城)