帝国データバンクが、大手重工4社を除く「航空機部品製造」または「航空機エンジン製造」を手がける主要部品メーカーと、その下請メーカーを抽出し、国内の航空機産業を支える中堅・小規模企業の実態を分析・発表した。
海外メジャー航空機会社による次世代旅客機の生産増や、国産初のリージョナルジェット「MRJ」の開発計画も進むなど、大きな変遷期を迎えている日本の航空機産業。こうしたなか、今年1月中旬、日本企業が機体製造の35%を担当する米ボーイング社の新型旅客機787で、機器トラブルが相次いで発生。動向次第では、下請業者を中心に国内の航空機産業にも影響が出る可能性が取りざたされている。こうした中、帝国データバンクが、大手重工4社〈三菱重工<7011>、川崎重工<7012>、富士重工<7270>、IHI<7013>〉を除いた「航空機部品製造」または「航空機エンジン製造」を手がける主要部品メーカーと、その下請メーカーを抽出し、国内の航空機産業を支える中堅・小規模企業の実態を分析・発表した。
これによると、主要部品メーカーは全国に195社。その取引先となる下位部品・素材等の下請メーカーは全国に745社にも上る。これらのメーカーの2011年度売上高合計は、主要部品メーカーでは4315億6800万円となり、前年度比9.0%の増加。下請メーカーは9325億500万円となり、こちらも前年度比5.1%の増加となっている。
地域分布では、主要部品メーカーは「中部」が構成比41.0%の80社、下請メーカーでは「関東」が構成比38.4%の286社と主な拠点となっており、企業の約9割が3大都市圏に集中している。また規模別では、主要、下請いずれも中規模前後の企業が多数を占め、売上規模が1億円未満の小規模企業は構成比9.5%にとどまるなど、相対的に少ない結果となっている。また従業員規模別では、主要・下請けとも「10人~50人未満」が最多となっており、航空機産業に関わる企業にはある程度の事業規模が必要であることが窺える。その他、業歴では主要、下請ともに「50年~100年未満」が最も多く、戦後に設立され十分な実績を積んできた企業が航空機産業の中核を担っている一方、「10年未満」の新興企業は極めて少ない。また、下請メーカーが主業としている業種を見ると、「機械・同部品製造修理」が58 社で最多、中部地域を中心に「自動車部品製造」(28 社)や、客室内装品に使われるプラスチック部品などを扱う「工業用樹脂製品製造」(17 社)などが上位に入っている。
一定以上の規模と歴史を有する企業が中心ではあり、他に主業としている業種を持つ企業が多いとはいえ、各社が堅調な理由には、間違いなく新型旅客機の生産本格化が挙げられるであろう。その為、今回の機器トラブルが業績に影響することは想像に難くない。業績のみならず信用までも落とさぬことを期待したい。(編集担当:井畑学)