住友化学は、農業用殺菌剤エタボキサム事業について、韓国LG Life Science社から譲渡を受けることで合意。譲渡日は12月中旬を予定している。
エタボキサムは、ブドウ、野菜類のベト病、ジャガイモの疫病や、各種作物の土壌病害の一種である苗立ち枯れ病など、作物に被害を及ぼす重要病害に卓効を示す殺菌剤。茎葉処理、土壌処理、種子処理など、さまざまな農業分野での適用が可能だ。LG Life Science社によって開発され、2005年から茎葉処理、土壌処理の用途を中心に、世界各国で販売されているが、作物体内での薬剤移行性が高く、予防効果もあるという理由から、農薬の散布回数や散布量を減らし、農家の省力化に貢献する効果がある、農薬種子処理においても優れた性能を発揮。農薬種子処理は、農業の省力化・大規模化の世界的な流れの中で、近年特に需要が大幅に拡大しているが、苗立ち枯れ病に有効な効力を示す薬剤が少ないことから、エタボキサムの需要は高いと考えられる。
同社は、農薬種子処理分野を重点分野の一つと捉えており、殺虫剤クロチアニジンを中心にした製品ラインアップの拡充を推進。エタボキサムが加わることで、既存品との組み合わせにより、さらに特徴ある種子処理薬剤の提供が可能となる。同社は、以前よりLG Life Science社からエタボキサムの米国等の地域におけるライセンスをグループ内で受け、主に種子処理分野での開発を進めており、既に本年9月には、米国・カナダにて、同社の米国子会社であるValent USA社が農薬登録申請を行っている。今回のエタボキサム事業の買収を機に、さらに種子処理薬剤のグローバルな開発を加速させる計画だという。
現在、同社は農薬事業の強化・拡大を進めており、今回のエタボキサム事業買収により事業基盤を一層強化し、農薬事業を通じ農作物の生産性向上に貢献していく。