北東アジア非核兵器地帯の構築検討を 長崎市長

2020年08月12日 06:46

 安倍晋三総理は9日営まれた長崎での原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に参列し「唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の努力を、一歩一歩、着実に前に進めていくことは我が国の変わらぬ使命」とあいさつしたが、「核兵器禁止条約」には一切、触れなかった。

 長崎市の田上富久市長は平和宣言で「日本政府と国会議員に訴えます。核兵器の怖さを体験した国として、一日も早く『核兵器禁止条約』の署名・批准を実現する。北東アジア非核兵器地帯の構築検討をしてください。『戦争をしない』という決意を込めた日本国憲法の平和の理念を永久に堅持してください」と強く求めた。

 安倍総理は「厳しい安全保障環境や、核軍縮をめぐる国家間の立場の隔たりがある中では、各国が相互の関与や対話を通じて不信感を取り除き、共通の基盤の形成に向けた努力を重ねることが必要だ」と強調。

 そのうえで「核兵器不拡散条約(NPT)条約が国際的な核軍縮・不拡散体制を支える役割を果たし続けるには、来るべきNPT運用検討会議を有意義な成果を収めるものとすることが重要。我が国は結束した取組みの継続を各国に働きかけ、核軍縮に関する『賢人会議』の議論の成果も活用しながら積極的に貢献していく」と米国の核の傘下による抑止力依存体質や安全保障のバランスを維持する立場で核兵器禁止条約の署名、批准に踏み切れない政府の姿勢を浮き彫りにしていた。(編集担当:森高龍二)