広島への原爆投下から75年となる6日、広島県での原爆死没者慰霊式・平和祈念式に参列した安倍晋三総理は「非核3原則を堅持しつつ、立場の異なる国々の橋渡しに努め、各国の対話や行動を粘り強く促すことにより、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組みをリードしていく」と語った。
安倍総理は「核兵器のない世界の実現に向けた確固たる歩みを支えるのは、世代や国境を越えて核兵器使用の惨禍やその非人道性を語り伝え、継承する取組み」と述べ「被爆者の方々と手を取り合って、被爆の実相への理解を促す努力を重ねていく」と述べた。
また核兵器不拡散条約(NPT)の実効性へ積極的貢献をする旨示したが、核兵器禁止条約には一切触れず、あいさつを終えた。
一方、松井一実広島市長は平和宣言の中で「これからの広島は世界中の人々が核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて連帯することを市民社会の総意にしていく責務があると考える」と訴えた。
そのうえで「50年前に制定された核兵器不拡散条約と、3年前に成立した核兵器禁止条約は、ともに核兵器廃絶に不可欠な条約。次世代に確実に継続すべき枠組みであるにもかかわらず、その動向が不透明となっている。世界の指導者は、今こそ、この枠組みを有効に機能させるための決意を固めるべきではないか」と核兵器不拡散条約と核兵器禁止条約が一体であることを強調。
松井市長は「日本政府には、核保有国と非核保有国の橋渡し役をしっかりと果たすためにも、核兵器禁止条約への署名・批准を求める被爆者の思いを誠実に受け止めて、同条約の締約国になり、唯一の戦争被爆国として、世界中の人々が被爆地ヒロシマの心に共感し、連帯するよう訴えていただきたい」と、いまだに核兵器禁止条約に署名、批准しない日本政府に早期の署名、批准を強く求めた。(編集担当:森高龍二)