防寒対策に被災地の地域格差が出るのはなぜ

2011年12月06日 11:00

k111205_027_3

被災地で仮設住宅に、防寒対策等の工事を進める現場スタッフ

 大震災後、初めて真冬を迎える被災地。現在、防寒対策はどのように進んでいるのだろうか。

 気象庁は11月24日、12月から2012年2月までの長期予想を発表した。震災の影響で心配される東北地方は気温に関しては、”平年並み”"高い”が共に40%の確率とした。だが、冬を迎えたこの時期、仮設住宅に住む人達は、昨年までのように防寒対策が十分に施された住宅ではないという現実を知らされている。

 厚生労働省の発表資料によると、9月30日に行われた応急仮設住宅の居住環境等に関するプロジェクトチームの会議で公表されたアンケートにおいて「仮設住宅の住環境改善の実施(見込み)状況」で驚くべきデータがあった。それは、寒さ対策の肝と言っても過言ではない”断熱材の追加”と”窓の二重ガラス化”の追加工事が、岩手・福島・宮城での割合がバラバラで、この時点ではまだ高い数値とは言えないまでも、宮城に関しては両方とも0%だったのだ。自治体ごとで進め方などが違い、全て足並みが揃うことはないとしても、もう12月。いつ完了するのか、仮設住宅の住民達は不安を抱えている。

 そんな中、仮設住宅を手掛けた住宅メーカーも寒さ対策に向け、被災地での作業を現在も行っている。先日、対策の遅れが不安視されている宮城県へスタッフを送ったアキュラホームの取材を行った。

 同社は南三陸町の3ヵ所で仮設住宅を手掛けている。床・壁・天井の断熱強化、複合ガラス化、トイレの暖房便座設置、居室の換気口設置は新築時に完了。今回追加工事として、玄関先の風除室設置、雨樋の設置通路、駐車場の舗装及び排水用側溝の整備を行った。12月に入り、肌を刺すような強い寒風が吹く中、現場で作業するスタッフは「入居者の方のために一日でも早く完成させたい」と話している。

 仮設住宅の場合、住まいごとに大きな差(設備や広さなど)がないように、国側の規格に従って建設されている。震災直後は”早期建設が最優先”という声に従い、とにかく完成を急いだが、震災から8カ月以上が経過した今、設備対策への取り組む姿勢に自治体間で差が生まれ、地域によって防寒対策が遅れているという事実が浮かび上がってきた。

 これから本格的な寒さ迎えるにあたり、一番つらい思いをするのは、そこの住まい手であるということを自治体の担当者は改めて考えて欲しいものだ。