政府答弁、整合性のなさ浮き彫り 学術会議問題

2020年11月05日 06:47

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日本学術会議が政府方針にイエスマンばかりの会員になれば、それこそバランスを欠いた政府政策追従の提言しなくなり、国家、国民のためにはならない

 加藤勝信官房長官は4日の衆院予算委員会で立憲民主党の枝野幸男代表の質問に答え「日本学術会議の会員推薦候補が趣旨や目的などに照らし、会員の任命について国民及び国家に対し責任を負えないような場合にまで、推薦の通りに(総理が)任命しなければならないわけではない」と答弁した。

 枝野氏は「今回の6人は任命したら国家や国民のためにならない人なのですね」と追及。菅義偉総理は「政府の法案に反対しているからとか、特定の分野の研究だったとか、そういうことで任命を判断したわけではありません」と、安保法制や特定秘密保護法、共謀罪を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案に反対したから任命拒否をしたわけではない、と主張。政府答弁の整合性のなさが浮き彫りにされる答弁になった。

 菅総理は「年間10億円の予算を使って活動している政府の機関であり、任命された場合、公務員となるので、その前提で、社会的課題に対して提言などを行うために専門分野の枠にとらわれない広い視点に立ってバランスの取れた活動を確保するために必要な判断を行った」などと述べた。菅総理の説明では6人を入れると広い視点に立ってバランスの取れた活動が確保できないと判断したことになる。

 裏を返せば安倍内閣として必要だと推し進めた安保法制や特定秘密保護法、共謀罪を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案に対して、国会などに参考人出席し、学術的立場から反対したからこそ、このような人物を会員に任命することはできない、と拒否したと言っているのも同義。

 枝野氏は繰り返し整合性のない答弁をする菅総理に「壊れたレコードみたいなことをやるなら、もう原稿を読むのをおやめになって、自分でお話になった方がいいんじゃないですか」と苦言を呈した。

 日本学術会議が政府方針にイエスマンばかりの会員になれば、それこそバランスを欠いた政府政策追従の提言しなくなり、国家、国民のためにはならない。この日も整合性の取れない政府答弁が続いた。(編集担当:森高龍二)