新型コロナウイルス感染症が広がりをみせている。第三波と呼ばれているが、7、8月の第二波とは異なり、11月に入ってから陽性判定者のみでなく重症者数も増加傾向で推移している。今回は単に検査数増加で陽性者が増えた、では説明がつかず、実際に感染が拡大している可能性が強い。重症者の増大は、当然医療機関への負荷の増大となる。これまで丁寧に重症化リスクの高い患者をケアし、重症化を未然に防止できていたものが、患者の増加でこれが困難となり、場合によっては医療崩壊という懸念も出てきた。さらなる医療体制の拡充が急がれる。
19日、医療情報サービスのeヘルスケアが、10月27日~11月2日に全国の病院、診療所の勤務医及び開業医558名を対象に実施した「第6回、新型コロナウイルス(新型肺炎/COVID-19)調査」の集計結果レポートを公表している。
都道府県から指定を受け、国からの支援を受けながら発熱患者の診療・検査を担っていく「診療・検査医療機関」体制の認知度に関して聞いた結果では、「すでに知っていた」と答えた者の割合は全体で約6割、診療所・小規模病院では7割超という結果であった。10月末時点での申請状況について尋ねたところ、全体では「すでに指定されている」との回答が約2割、「現在申請中」が約1割となっており、申請中を含め「診療・検査医療機関」に該当するものは3割程度ということになる。
実施可能な検査については、PCR検査が8月の35%から10月に44%、「抗原検査」は8月の27%から10月35%と、検査体制は拡充しているようだ。しかし、規模別に見ると中規模以上や感染症指定医療機関では過半数が実施可能であるのに対し診療所・小規模病院では2割未満にとどまっている。
それでは、診療所・小規模病院ではどのような課題をかかえているのか見てみると、「感染対策が十分にできない」35%、「患者の来院数が減っている」35%、「検査ができない」24%が相対的に多くなっている。感染の疑いのある患者を診察した医師では「収入減による経営難」が40%、「診療にかかる負担が大きい」が38%と、新型コロナの診察・治療には経営上・採算上の課題もあるようだ。
レポートでは「感染対策の支援と併せて、診療・検査実施による診療上の負担や患者数減少といった経営上の懸念を払拭することが不可欠と言えそう」であると指摘している。(編集担当:久保田雄城)