新型コロナウイルス感染症の流行は日本のデジタル化を推し進めていると言われる。人と人との接触の8割削減を目標とした緊急事態宣言が発令された4月以降、多くの職場で在宅勤務が導入されたり、学校ではリモート受業が行われたりするなど、対人接触を回避するツールとしてインターネットを経由したデジタルツールの利用が拡大している。
様々な分野でデジタルツール/システムの活用が試みられているが、対面接触を基本とする営業現場でもデジタル活用推進は大きな課題だ。
営業システム開発の大手であるベルフェイスがコロナ禍における営業活動のデジタル活用推進や、その態度変化に関する調査を行い、11月25日、そのサマリレポートを公表している。
レポートによれば、「デジタルツールやデータ等の活用ができているか」と尋ねた結果では、「活用できている」と答えた者の割合は65%となっている。業種別では通信・情報処理業の97%が最も高く、形態別には外勤の新規開拓営業78%が高くなっており、業種や営業活動の形態によってバラツキがあるようだ。
コロナ禍でデジタル活用の重要性が「高まった」と答えた者は85%に達するが、その理由について聞いた結果では、「顧客への対面営業が困難になった」52%が最多で、次いで「自社社員の在宅勤務で環境整備が必要となった」44.2%と続いている。また、「顧客が在宅勤務になったから」を理由とする者も36.6%いる。
現在デジタル活用が進んでいない理由については、「業種や組織形態がデジタル活用にそぐわない」が26%と最も高く、次いで「営業担当者のデジタルリテラシーが不足している」25%と続いている。現場での準備不足、調整不足もデジタル化阻害要因になっているようだ。
今後の意向については、「コロナ終息後も積極的に進める」が36%、「今と同程度に活用」が35%で、特に「経営者・執行役員クラス」で47%と高く、経営層や管理職など職位が高い者ほど積極的、もしくは危機感が強い傾向がうかがえる。
コロナ禍で全体的にデジタル活用が進んでいるものの、デジタル活用への意欲については企業により温度差がみられる。レポートは「全社的なデジタルリテラシーと理解を向上させることが、職場内のデジタル活用に関する温度差を無くしていくことに繋がる」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)