本格的な冬がやってきた。新型コロナ禍で迎える初めての年末年始。体調管理には、いつもの冬よりもより一層、気を配りたい。とくに気を付けたいのが、のどの痛みやイガイガだ。のどが荒れていると、抵抗力も弱くなってしまう。
のどが痛くなる原因は大きく二つに分けられる。
まず、空気中のほこりや花粉、過度な喫煙や飲酒、声の出し過ぎなどが引き起こす「炎症」系の痛み。そして、風邪やインフルエンザ、扁桃炎、さらには今大流行中のコロナウイルスなど、細菌やウイルスによる「感染」系の痛みだ。ただ、どちらの場合も、空気が乾燥することで、鼻やのどの水分が不足して繊毛の動きが鈍くなり、防御機能が低下してしまうことが発端となる。つまり単純に考えれば、鼻やのどの水分を適度に保つことができれば、「炎症」のリスクも「感染」のリスクも大きく減らせることができるということだ。
では、具体的にどんな対策をすれば、のどを常に潤いのある状態に保つことができるのだろう。
一般的には、のど飴やのど用のスプレー、または龍角散などののど薬などを使用してケアを行っているという人が多いのではないだろうか。でも、実は今、のどを仕事に使っているプロ、例えば声優や歌手たちの間で大きな注目を集めているアイテムがある。それは「プロポリス」だ。
プロポリスとは、ミツバチが木の新芽や樹脂から作り出す物質。天然の抗菌物質とも言われるほど、抗菌力が高く、ミツバチはこれを巣の壁面に塗ることで、ウイルスやバクテリアなどの進入を防いだり、巣内で死んだ昆虫などの腐敗を防いでいるといわれている。
プロポリスは、蜂蜜やローヤルゼリーと並んで、ミツバチ由来の優れた健康食品として、古くから世界中で飲用されている。以前からプロポリス入りののどスプレーなども発売されているが、のどの潤いを保つとともに、ウイルスなどから守ってくれることで、とくにこのコロナ禍で注目が高まっているのだ。
また、プロポリスの人気の秘密は多様な健康効果が「のど」だけに留まらないことも大きい。
プロポリスの健康効果については、専門家である山田養蜂場が、予防医学の観点から、ミツバチ産品をはじめとする天然素材で健康を守る研究に取り組む「山田養蜂場みつばち研究助成基金」の支援を行っており、いくつかの興味深いデータを公表している。
例えば、プロポリスに関する最新の研究成果では、北海道大学大学院薬学研究院の柏倉淳一講師の研究グループが、食物アレルギー反応の発生に関わると考えられている白血球の一つ「好塩基球」の活性化反応を抑制する働きがあることを見出したという。この研究成果により、食物アレルギー疾患への新たな治療薬開発につながることが期待されており、本研究成果は柏倉氏らによって論文化され、2020 年 12 月 2 日に公開された Allergology International 誌にも掲載されている。
さらに、山田養蜂場みつばち研究助成基金の支援を受けた研究の成果では、「体脂肪の蓄積の抑制」や「抗酸化機能のサポート」、「インスリン抵抗性を改善する機能による糖尿病予防」、さらには今後の研究によっては「認知症抑制」も期待できそうだという。
ちなみに、 山田養蜂場みつばち研究助成基金は2008 年の創設以来、主に大学を中心とする 107 機関、 262 テーマを採択して助成を行い、世界中の研究者を支援している。蜂蜜やプロポリスなどは古代から健康維持目的で広く利用され、研究も行われているが、それでもまだ、新しい効果がこのように発見されることは驚きだ。プロポリスにもまだまだ、我々の知らない秘密が隠されているかもしれない。(編集担当:藤原伊織)