北方領土の返還を求める全国大会が7日、都内で催され、菅義偉総理は「2018年の日ロ首脳会談のやり取りをしっかり引き継ぎ、着実に交渉を進める」と前・安倍内閣路線を継続する考えを示した。
安倍晋三前総理は総理時代に日ロ平和条約締結での歯舞(はぼまい)・色丹(しこたん)の2島返還路線でプーチン大統領と交渉を進め、島への経済投資は進んだが、これ以外の進展はなかった。安倍総理(当時)は2018年11月にシンガポールで行ったプーチン大統領との会談後の会見で「1956年共同宣言を基礎とし、平和条約交渉を加速させる。本日そのことで、プーチン大統領と合意しました」と話した。しかし、両国首脳会談後、ロシアは憲法を改正し「領土割譲を禁止する」条項を盛り込んだ。このため、2島返還も難しくなったとの見方さえ出ている。
日本共産党の紙智子参院議員は、領土割譲禁止条項は「国際的効力をもたない」とし「国際的な道理に立った問題解決を」と求め、択捉(えとろふ)・国後(くなしり)を含む4島返還実現への思いをアピールした。
立憲民主党は「北方領土は我が国固有の領土であり、この間のロシアによる北方領土の実効支配の強化や軍事拠点化は、我が国の立場と全く相容れません。政府が毅然とした態度で交渉を加速させるよう、全力で後押しする」とのメッセージを大会に届けた。(編集担当:森高龍二)