DX化の進展に伴いセキュリティ投資も活発化してきているが新型コロナウイルス感染症の流行に伴い非接触型セキュリティへの関心も高まっているようだ。
1月26日、総合マーケティング業の富士経済がコロナ禍におけるセキュリティ関連の国内市場の状況を調査した結果レポートを公表している。レポートによれば、2019年は翌年に開催が予定されていた東京五輪に向けた関連施設の建設、都市再開発、企業の設備投資の拡大などにより、新築ビルや公共インフラで需要が増加し、リプレース需要も堅調だったことから、アクセスコントロール分野や監視カメラシステム分野が二桁近く伸び市場は大きく拡大した。
しかし、20年に入り、新型コロナウイルス感染症の影響で企業の設備投資抑制や導入計画の延期などにより市場は縮小したと見込まれる。特に監視カメラシステム分野やアクセスコントロール分野が落ち込んでいるが、イベント監視・通報関連機器分野や家庭向け機器・サービス分野は、定期的なサービス料金が主な収益源である法人向け機械警備サービス、ホームセキュリティサービスが中心なことから市場は安定しているとみられる。
現在は、新型コロナ感染症の対策を目的とした製品やソリューションの需要が増えており、サーマルカメラによる自動体温検知と顔認証などのアクセスコントロール機器を連携させたソリューションや、非接触を可能とする空中入力システム、深紫外線LEDの空間除菌装置などが注目されているようだ。今後は、リプレース需要が一巡している防災関連システム・サービス分野の伸びは小さいが、バイオメトリクスが好調なアクセスコントロール分野、ドライブレコーダーが好調な自動車分野が高い伸びを示す見込みだ。
顔認証は、現状普及している生体認証の中では完全な非接触での認証が可能であることから、新型コロナウイルス感染症の影響により需要が高まっている。20年のバイオメトリクス市場全体としては169億円で前年比99.4%と縮小だが、顔認証のみでは32億円で前年比110.3%とふた桁の伸びが見込まれる。23年には86億円と19年比で3倍の市場になると予測されている。
セキュリティ関連市場全体では、20年に9691億円、前年比99.1%と縮小だが、23年には1兆147億円に達し、19年比103.8%と緩やかに成長すると予測されている。(編集担当:久保田雄城)