武田良太総務大臣は19日の記者会見で「20日付けで情報流通行政局長の秋本芳徳を大臣官房付に、大臣官房総括審議官の吉田博史を情報流通行政局長にそれぞれ異動させる」と発表した。また「吉田は現在の職である官房総括審議官と電気通信紛争処理委員会事務局長を併任する」と述べた。
また「大臣官房審議官の湯本博信を大臣官房付に異動させ、藤野克大臣官房審議官(国際技術・サイバーセキュリティ担当)に情報流通行政局担当を兼務させる」とした。
武田大臣は「この異動は法案、審議等を控える中、行政を鑑み、適所適材の配置として行うものだ」と法案や国会審議を踏まえた措置だとした。そして、菅義偉総理の長男で衛星放送関連会社取締役を務める菅正剛氏の接待を受け、会食を重ねたうえ、土産やタクシーチケットを受け取っていた国家公務員倫理規程違反の疑義とは別とした。
また「国民の疑念を招くことが二度と起こらないよう、コンプライアンスを徹底的に確保し、信頼回復に努めたい」と述べた。
しかし、この異動に対して、立憲民主党の蓮舫代表代行は「大臣官房付という肩書きになると国会で出席が求められても『政府参考人』と認められず、出席しなくて済む」と問題を指摘。「一般参考人に出席要求をしても、与党が認めない限り答弁しません。疑惑隠しの人事ではないでしょうか」と真相解明を阻害する人事だとSNSで指摘した。
蓮舫氏は「菅総理の長男、菅正剛氏の接待が行政の歪みを招いた疑惑。(秋本局長らの)更迭で終わらせる話ではありません」と問題追及の姿勢を示した。
秋本局長は菅正剛氏から昨年12月に接待を受けた際のやり取りの音声の一部については「自分の声だ」と認めたが衛星放送に絡む部分については「記憶にない」などと苦しい釈明を18日の衆院予算委理事会で行ったという。ところが19日になって「BS、CS、スターチャンネルの発言はあったのだろうと受け止めている」と衛星放送に絡む話があったことを認めた。
武田大臣は今回の問題に関する処分に関しては「調査結果報告を踏まえ、懲戒処分が必要であれば国家公務員倫理審査委員会の承認を得て速やかに行う」と述べた。国民が納得できる説明と厳格な対応が厳しく求められている。総務省の対応が注視される。(編集担当:森高龍二)