空の旅客需要、改善の兆し。JAL、ANAともに4月の国内運航率6割台に回復

2021年03月17日 06:39

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JALとANAが4月の国内線運行計画を発表。JALの運航率は3月の49%から65%へ大幅改善。ANAも3月の51%から62%へ大幅改善

 コロナ禍での景気低迷が続いている。新型コロナによる企業業績への影響は業種間で大きな格差があり、需要が急減した業種やコロナ禍でむしろ需要が増加した業種、業態も存在する。また、長期化するコロナ禍の中で巣ごもり需要など新たな需要を掘り起こすなどウイズコロナの環境に適応し業績回復に至った企業も少なくない。しかし、長期化する自粛ムードの中で飲食、宿泊、観光、そして旅客運輸業では基礎的な需要それ自体が蒸発した状況で業績回復への見通しは立たないままだ。

 こうした状況の中、JAL(日本航空)とANA(全日本空輸)が4月の国内線運行計画を発表し、大幅な需要回復の見通しを示している。3月11日、JALが「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う国内線の対応について」を、ANAが「新型コロナウイルスの影響に伴う国内線 路線・便数計画の一部変更について」を発表、4月1日~28日における国内線の運行計画(運休・減便計画)を示した。

 JALグループ各社(JAL、J-AIR、JAC、HAC、JTA、RAC)の4月1日~28日における国内線の運航率は65%、3月1日から3月31日の運航率は49%であったので大幅な需要回復を見込んでいることになる。期間中の減便対象路線は83路線、減便数は8274便、1日当たり296便で需要回復を見込むというものの大幅な減便であることには変わりない。ANAの同期間の国内線運航率は62%、3月の運航率は当初発表51%であったので、やはり大幅な需要回復を見込んでいる。期間中の減便対象路線は83路線、減便数は7364便と未だ大幅な減便だ。

 この運行計画は4月には緊急事態宣言が解除されることを見込んだ旅客需要を前提としたもので、ANAは「今後も、事態の推移を見極めながら都度適切な対応を図る」としており、JALも3月には実際に間際の追加減便を実施しているなど、宣言が再び延長された場合には、直近の需要動向に応じてJALグループ、ANAともに間際の減便追加の可能性がある。

 JALグループが3月8日より「JAL国内線PCR検査サービス」の提供を開始するなど各社ともに感染予防の徹底を図り需要回復につとめている。しかし、政府は感染者数の下げ止まり感の中で変異株の水際作戦を強化するなど楽観視出来ない状況が続いている。(編集担当:久保田雄城)