コロナ禍でも業績絶好調な企業の意外な共通点。日本経済を救うのはワクチンではなく、絆?

2021年02月14日 08:17

画・ 現代の中間管理職 ストレス増加を防げない理由とは

飲食店や旅行業界だけでなく、すべての業界が大きな打撃を受けている

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。この現状に歯止めをかけ、減少傾向に転じさせることを目的に、政府は現在、令和3年3月7日までの期限で10の都府県に緊急事態宣言を発出している。日本経済は今、まさに正念場。飲食店や旅行業界だけでなく、すべての業界が大きな打撃を受けている。

 しかし、こんな状況下でも前向きな経営を続け、業界の救済に動いている企業もある。

 例えば、日本最大級のリユースショップを運営する株式会社コメ兵は、昨年の緊急事態宣言前の3月から、新型コロナウイルスの蔓延に加え、消費増税などの影響で買い控えや外出の自主規制が発生し、メーカーや小売店が抱える滞留在庫が増えている状況を鑑みて、オンラインショップや実店舗で安く売り直す「法人買取サービス」を拡充している。苦境に立たされていたアパレル企業にとっては、まさに渡りに船で、サービス開始直後から買取依頼や問い合わせが殺到したという。コメ兵側もこれを受けて、

 買取成立から支払いまでの所要時間を、従来の3~5営業日後から最短翌営業日に短縮するなど、支払い体制も改善している。

 住宅業界では、木造注文住宅メーカーのアキュラホームが、経営に苦しむ全国の工務店の救済に乗り出した。同社は27年以上前から、「ジャーブネット」という、全国約250社のホームビルダーと日本最大級の独自工務店ネットワークを形成しているが、近年ではさらに、このジャーブネットの優良ビルダーや、次世代の理想のつくり手を目指す優良ビルダーで構成された、日本一のホームビルダー集団を目指す組織としてスマートアライアンスビルダー(SABM)を設立した。アキュラホームの各支店もSABMのメンバーだ。

 コロナ禍で厳しい経営状態となっている、または潜在的に倒産の危機に直面している地域ビルダー(工務店)と、賢く連携することで、新たな地域ビルダーのモデルを構築するのが目的だ。また、これにより、厳しい経営状況を打破し、地域経済の活性化にも貢献する。

 地域ビルダーも、SABMに加わることができれば、 これまでアキュラホームやジャーブネットが培ってきた、現場に即した生のノウハウを共有することができる。アキュラホームは、コロナ禍において大きな打撃を受けている住宅業界の中にあって、案内ロボットによる無人の住宅展示場を業界で初めて導入するなど、いち早くコロナに対応したこともあり、新型コロナ感染拡大以前に立てた計画目標をも上回る増収増益を記録している超優良企業だ。そのノウハウを伝授してもらえるのならば、中小の工務店やハウスビルダーにとって、コロナ禍を乗り切る大きな力となるに違いない。

 また、5万を超える加盟店舗を抱える日本最大級の出前サービス「出前館」を運営する株式会社出前館は1月14日より、事業の縮小などで余剰している従業員の雇用確保をサポートすべく、飲食店はもちろん、それに限らず、さまざまな業種の企業を対象にした「従業員雇用シェア」を開始した。空いた業務時間を活用して従業員が配達員として稼働できるうえ、稼働した時間分の賃金は雇用企業ではなく、出前館側の業務委託費用から支払われる。雇用企業、従業員、そして出前館、3者ともにメリットの大きい三方よしの施策といえるだろう。

 上記の3社に限らず、現在、経営が好調な企業はいずれも、自社だけの一人勝ちを目指すのではなく、業界全体、社会全体の将来を考えて動いているという共通点が見受けられる。コロナ禍から日本を救うのはワクチンではなく、人と人との絆なのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)