ワクチン接種には「本人の同意」が必要。でも、「認知症」の人はどうする、どうなる?

2021年04月23日 06:50

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認知症を抱える親やパートナー、自分や家族を守るためには、まずは認知症に対する正しい知識と情報を得ることではないだろうか

 日本でもようやく、新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった。厚生労働省の発表によると、すでに薬事承認されたファイザー社の新型コロナワクチンの発症予防効果は約95%と報告されており、受けた人が受けていない人よりも、明らかに発症が少ないことが分かっているが、現時点では感染予防効果は明らかになっておらず、適切な感染防止策は接種に関わらず引き続き行う必要があるという。また、本ワクチンは1回の接種では十分な免疫が獲得できない。効果が見られるのは2回目の接種を受けてから7日程度経って以降というから注意が必要だ。

 ともあれ、ワクチンが期待通りの効果をもたらしてくれれば、世界を震撼させているコロナ禍にも少しだけ光が差してくる。ところが、そんなワクチン接種に際して、一つの問題が勃発しているという。それが、高齢者のワクチン接種だ。政府は限られたワクチンを段階的に接種するために、医療従事者に続いて高齢者の優先接種を進めている。これ自体には何ら問題はない。コロナが発症すれば命の危機に陥る可能性が高いといわれている高齢者は優先的に接種するべきだろう。しかし、問題は「認知症」を患う高齢者だ。

 厚生労働省はワクチンの接種条件として「本人の同意」を求めている。でも、高齢者施設などでは、認知症などで意思疎通ができない人も多い。そんな人たちから、どうやって「同意」を得るというのか。家族からは「家族や親族が代理で同意しても許可してほしい」と切実な声が上がっているという。

 ワクチンの接種だけではない。感染を恐れて、介護や訪問などもままならない。東京都健康長寿医療センターでは1月15日に「認知症患者における新型コロナウイルス感染対策とケアマニュアル」を公表しているが、残念ながら、一般的な感染予防策と基本的なケアの方法を記した程度のものだ。責めているのではなく、そもそも、認知症とひとくくりに言っても、置かれた生活環境や症状の程度などによっても千差万別なので、わずか数ページのマニュアルにまとめられるようなものではない。もちろん参考にはなるものの、多くを期待してしまうのはお門違いだ。

 とくにこの混沌としたコロナの渦中で、認知症を抱える親やパートナー、自分や家族を守るためには、まずは認知症に対する正しい知識と情報を得ることではないだろうか。幸い、今はインターネットも普及しているので情報を収集しやすい環境が整っている。全国各地で行われている認知症のセミナーなども、自宅に居ながらオンラインで視聴できる時代だ。

 例えば、4月25日(日)に岡山県津山市で開催される「第69回 山田養蜂場文化セミナー」でも

 認知症がテーマに取り上げられるという。米国ハーネマン医科大学主任研究員、国内製薬企業の創薬研究所副所長などを約20年間歴任し、現在は株式会社山田養蜂場 みつばち健康科学研究所の名誉顧問を務めている、理学博士の橋本健氏が講師として登壇し、 「認知症の新常識を知り、備える~自分と家族のために今日から始める健康習慣~」と題した講演を行う。最新の認知症研究を紐解き、認知機能低下の原因の解説や認知症の予防と改善に繋がる、食事・運動・サプリメント等の効果的な組み合わせの紹介などが行われる予定だ。また、新型コロナウイルスの抗原検査を実施して不検出の方のみが会場で参加できるようにするなど、感染防止対策を徹底するとともに、YouTubeでの配信も行うという。

 また、静岡大学の特任教授でもある竹林洋一氏が理事長を務める一般社団法人「みんなの認知症情報学会」の活動も興味深い。同会では認知症を「個性」と考え、本人と家族の視点を重視する市民情報学(Citizen Informatics)という市民参画型の情報学を提唱。人工知能(AI)と情報技術(IT)を活用し、世代や職種を超えた会員を募って、イベントやワークショップ、交流会などを通して認知症に関する「多面的な知」を創りだす活動を行っている。認知症の症状は人それぞれだが、会員として参画して情報を共有し、知識を広げることができれば、新たな気付きや、直面している問題などの解決にもつながるかもしれない。

 いずれにしても、まずは何をおいても、認知症について深く、そして広く知ることだ。人は未知のものを恐れる傾向にある。知ることができれば、恐れることなく、適切な判断が下せるようになるはずだ。(編集担当:藤原伊織)