デジタルツイン技術(モノづくりとAI結合)急成長。製造・建設・物流等のプロセス短縮に革命

2021年05月22日 09:12

画・デジタルツイン技術(モノづくりとAI結合)急成長。製造・建設・物流等のプロセス短縮に革命。

デジタルツイン、コロナで加速。物理データを仮想処理しリアルに返す技術は、製造、建設、物流、医療での需要増が期待

 「デジタルツイン」という技術が製造、建設、物流、医療など多くの分野で注目されている。デジタルツイン・テクノロジーとはリアル(物理)世界とコンピュータをIoTでつなぎコンピュータ内に遠隔操作可能な仮想世界を作り出し、AIで制御された様々なシミュレーションを可能にする技術のことだ。ここではVR(バーチャルリアリティ)とAR(拡張現実)の技術が仮想世界をさらに現実的なものにする。

 5月17日、ニューデリーに本社を置く市場調査会社、レポート・オーシャンがデジタルツイン・テクノロジー市場の動向・予測に関するレポートを公表している。これによれば、世界のデジタルツイン・テクノロジーの市場は年率57.2%で成長しており、2020年は28億6000万ドルに達すると見込まれる。

 現時点での活用は、エネルギー生産における深海水タービンの遠隔監視や石油・ガスパイプラインの固定や機能の適切制御が目的だ。この技術は災害管理に最適で、事故などの発生確率を低減し、ヒューマンエラーを減少させるためだ。デジタルツイン技術は実世界のデータを活用し、特定の製品やプロセスのシミュレーションを実行し、製品の設計段階から配備段階までをモニターし将来的な性能評価をも実現する。この技術によって収集された情報は、企業がイノベーションを起こすのに役立つだけでなく新たな価値の創造にもつながる。今後はIoTプラットフォームベンダーや多くの企業がデジタルツインを構築するためのシミュレーション・プラットフォームと機能を積極的に統合し、AIとモノのインターネットを統合すると予測される。

 デジタルツイン技術は、診断や治療支援プログラムなどのヘルスケア分野にも変革をもたらしている。投薬ミスを減らし薬の副作用から患者を救うために導入されている。また、製造業や自動車分野には膨大なアプリケーションが存在し、これにヘルスケア分野が続き、現在この3つの分野が市場の成長を牽引している。

 地域的には、北米で複数の投資家が存在しデジタルツイン分野でメガ・カンパニーが出現しているため最も高いペースで成長すると予測されている。特に自動車製造業での研究開発が市場の収益を支えているようだ。アジアでは日本、中国、インドが市場を牽引している。新型コロナの世界的流行で非接触型作業の需要も高まっている。こうした動向からレポートでは、27年の世界市場は536億1000万ドルに達すると予測している。(編集担当:久保田雄城)