世界は新型コロナパンデミックの中にあるが、先進国を中心にワクチン接種が進み、先行きに明るい見通しが出てきた。既に中国経済の回復がけん引し世界経済も回復へと向かっている。米国のバイデン政権はワクチン接種の加速を表明し個人消費についても明るい見通しが出てきている。こうした中、世界のCEOは世界経済の見込みについても自社の見込みについても積極的な見通しを持っているようだ。
ロンドンに本部に置くPwCコンサルティングの日本法人が5月24日に「2021年度世界CEO意識調査」の日本の部分に関する分析レポートを公表している。レポートによれば日本のCEOの67%が世界経済の成長の回復を予測しており、パンデミックが始まった前年調査の12%から大きく上昇している。自社の成長見通しについても、世界全体のCEOは前向きな見方を強めている。
今後1年の自社の売上成長見通しについて「非常に自信がある」と回答した世界のCEOの割合は約36%と前年度の27%を上回っている。国ごとに見ると、米国のCEOが49%、中国は31%となっている。中国は前回調査45%から減少だ。日本のCEOについては20年の11%から2021年は14%と4ポイント上昇した。
「自社の成長見通しに対する潜在的な脅威」についてはコロナ禍で変化したようだ。世界全体ではトップが前年調査では「過剰な規制」36%であったが、今回調査では「パンデミックやその他の健康危機」と52%が回答している。日本では20年には「鍵となる人材の確保」53%がトップであったのに対して、今回調査では世界全体と同様に「パンデミックやその他の健康危機」68%がトップとなった。
DXへの長期投資に関する質問に対しては、世界全体のCEOの49%、半数が「10%以上の増額を予定している」と回答しているが、日本のCEOでは31%にとどまっており、DX投資については世界のCEOと日本のCEOとの認識に大きな格差が見られる。「サステナビリティおよびESGへの長期投資を10%以上増やす」と回答したCEOは、世界全体では23%であるのに対して、日本では16%にとどまっている。
人員計画に関しては「従業員を増やす」と回答したCEOは世界全体では44%であったのに対して、日本では27%とやや慎重な姿勢となっている中で、日本では「従業員のエンゲージメントやコミュニケーション」を重視と日本固有の労務管理の影響が見られる。(編集担当:久保田雄城)