日本のデジタル・スキル、最低レベル。アプリ活用率、生産性でも最下位。~ガートナー

2021年05月28日 06:10

画・日本のデジタル・スキル、最低レベル。アプリ活用率、生産性でも最下位。~ガートナー

ガートナー・ジャパンが世界の主要9カ国のデジタル・テクノロジのスキルについて調査。日本は「素人」、「中程度」と回答した従業員が6割以上となり、調査した9カ国中で自己評価が最も低い結果。

 新型コロナの世界的流行は日本のICTが世界から数十年遅れていることをまざまざと見せつけた。海外でのオンライン授業、自宅隔離者へのスマホ検診、GPSを利用した接触履歴、中国では隔離施設でAIロボットが活躍した。一方、日本ではテレワークを阻害するハンコやファックス、機能しない接触アプリ、ワクチン接種での多重システムによる混乱が議論となっている。2018年にはイギリスの人材会社ヘイズが日本は「世界一スキル不足の国」だというレポートを発表したが、それは現在でも変わっていないようだ。

 5月10日に世界的ITコンサルタントのガートナーが世界の主要9カ国の従業員を対象としたデジタル・ワークプレースに関する調査結果を発表している。ガートナーは20年11、12月、米国、欧州、アジア太平洋地域の組織に所属する1万80名の正社員を対象にワークプレースの利用動向などを把握する調査を実施した。

 ビジネス用途のデジタル・テクノロジのスキルに関し自身のスキル・レベルについて尋ねた結果、日本では「素人」と答えた者が10%、「中程度」52%で、両者を合わせると6割以上となり、調査した9カ国中で自己評価が最も低くなっている。ちなみに、米国では32%、欧州25%、アジア31%だ。ワークプレース系アプリケーション・ツールの利用率では、日本はコラボレーション・ツール29%、情報共有ツール40%、トレーニング/ラーニング・ツール7%、リアルタイム・モバイル・メッセージング42%と、他の国や地域と比較して利用頻度は最低となっている。日本の従業員は、これらのアプリケーションの活用率が少ないだけでなく「まったく活用していない」と回答した従業員の割合が最も高くなっている。

 ガートナー・ジャパンのバイス・プレジデントである志賀嘉津士氏は「COVID-19の感染拡大などによりテレワークの本格化が進み」、「他国の従業員は日本を上回る速度でデジタル・ツールの活用を進めており、日本はさらに後れを取っている状況」だと指摘する。「個人の生産性の変化」については、「下がった」と回答した者の割合が日本では39%、米国26%、欧州21%、アジア27%となっており、スキルの低い日本ではデジタル活用でむしろ生産性が下がったと感じている者が多くなっている。志賀氏は「日本の経営者は、この結果に危機意識を持って、早急に従業員のデジタル・スキルの向上に注力すべき」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)