ワクチン接種によるコロナ収束は8月20日。終息は9月9日。野村総研が試算

2021年06月04日 06:36

画・ワクチン接種によるコロナ収束は8月20日。終息は9月9日。野村総研が試算。

野村総研が「ワクチン接種先行国における接種率と感染状況から見た今後の日本の見通し」。1日最大100万回の接種ならば、感染力低下は8月20日、減少傾向が明確になるのは9月9日

 新型コロナパンデミックはワクチン接種の進展により早期の終息が期待されている。米国のバイデン政権はワクチン接種を加速することを宣言し、これを受けたマーケットは夏までの集団免疫獲得予想による個人消費回復を期待、すでに米国経済は大幅な改善に至っており、この影響で日本の輸出も自動車を中心にふた桁の大幅な反動的回復と言える状況になっている。

 日本でのワクチン接種については主要国に比べ大きく遅れをとっていると批判されているが、ワクチン在庫の確保は十分で接種体制の混乱が大きな遅れの原因となっており、ワクチン接種普及と集団免疫獲得は時間の問題で、民間シンクタンクの見込みでは秋以降の反動的な個人サービス消費の回復が見込まれている。今後、どのような日程でワクチン接種が進むのか不確定ではあるが、野村総研が概ねの試算を行い、これを公表している。

 5月31日、野村総合研究所が「ワクチン接種先行国における接種率と感染状況から見た今後の日本の見通し」を公表した。これによれば、ワクチンの接種が先行しているイスラエルやイギリス、アメリカでのワクチン接種率と新規感染者数の推移の相関を見ると、以下のような傾向が見いだせるようだ。

1)行動制限策に加えワクチンの1回目接種率が2割前後に届くまでの間に新規感染者数が減少へと転じ始めた。2)1回目接種率が4割前後に達すると新規感染者数の減少傾向は明確になり始める。3)2回目の接種率が4割前後に近づくにつれ、新規感染者数の抑制・低減傾向が強まる。

 このような相関が日本にも当てはまるとし、5月27日から3週間後に日本で1日最大100万回の接種が達成できると想定した場合、日本の「1回目ワクチン接種率4割」が達する日は8月20日と試算される。上記の法則で言えば8月後半から感染力は弱まり始めることになる。また「2回目ワクチン接種率4割」に達する日は最短で9月9日という試算だ。9月にはほぼ集団免疫獲得と同様の状況になり、いくつかのシンクタンクが期待するように秋以降は外出自粛が緩和され消費回復へとつながる。ちなみに五輪開催の7月23日の1回目接種率は29%でかなりの感染抑制が効いていることになる。

 この試算は最速のスピード1日100万回を想定しているが、これが順調に進まず1日80万回で計算しなおすと、「1回目接種率4割」は9月10日、「2回目接種率4割」は最短10月1日となる。懸念は変異株の影響の程度であるが、複数のワクチンの登場で終息が時間の問題となったことだけは間違いない。しかし、飲食・観光業を中心に経済への悪影響は待ったなしの状況でワクチン接種が円滑に進むことを期待する。(編集担当:久保田雄城)