2019年夏の参院選挙で自民党公認候補だった河井案里氏の当選を目的に大規模買収を図った公選法違反(買収・事前運動)の罪に問われた夫の河井克行被告(元法相)に対する判決が18日、東京地裁であり、高橋康明裁判長は懲役3年の実刑を言い渡した。
7月2日までに検察、弁護、いずれかが控訴しなければ判決は確定。克行被告は刑に服することになる。また服役完了後5年間は公民権停止となる。安倍政権下で法務大臣を務めた克行被告の類を見ない規模の悪質な選挙違反だけに執行猶予の余地はなかったとみられる。
一方、河井夫婦による買収事件では自民党本部が選挙資金として税金が原資の政党交付金1億2000万円を含む計1億5000万円が河井陣営に提供されており、今回の買収に使われたのではとの疑念は消えていない。当時の自民党総裁は安倍晋三氏、幹事長は二階俊博氏で二階氏は現在も幹事長職にある。
この1億5000万円をめぐっては17日の菅義偉総理記者会見でも取り上げられた。記者団から、当時の総裁である安倍前首相、二階幹事長に、菅総理は自民党総裁として説明責任を求めるのかが質された。
しかし菅総理は「検察に押収されている関係書類が返還され次第、党の公認会計士が内規に照らして監査を行い、しっかりチェックしてもらうことになっている」と説明するのみ。
このため記者団が「提供の支出決定は誰がしたのか、ということをお尋ねしている」と重ねて質問。
菅総理は「そこは(当時の)安倍総理というよりも、当時の総裁、幹事長、そういう中で行われているということは事実じゃないでしょうか」と言い回しを変えながらも「安倍、二階」ラインで決めたことを表現した。しかし、説明責任を果たすよう安倍氏に求める考えのないことはこの答弁で明確になった。
当時の総裁(安倍前総理)はなぜ1億5000万円もの支援を決めたのか、税金原資の政党交付金が大半を占めた選挙資金である以上、説明責任を果たすことが求められている。(編集担当:森高龍二)