原発稼働60年をさらに延長や新設まで 経団連

2021年10月07日 07:01

 政府の「第6次エネルギー基本計画案」へのパブリックコメントに、日本経済団体連合会は4日「(原発の)リプレース・新増設について明確に記載すべき」と求めたほか、原発の稼働期間に関して「最大60年(原則40年、例外的に20年の延長可能)」との規制を「さらに延長すべきだ」とする意見を出した。東電福島第一原発事故の深刻さの教訓は踏まえて姿勢は感じられない、経済効率最優先姿勢がうかがえる内容になっている。

 経団連は「原子力について、第6次計画案で2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、必要な規模を持続的に活用していく方針が示されたことに賛同する」としたうえで「国民からの信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、リプレース・新増設について明確に記載すべきである」としている。

 また「エネルギー基本計画の次の改訂(第7次)を待つことなく、カーボンニュートラルの実現を見据えた原子力(原発)の継続的活用のあり方について、正面から議論すべきである」と原発推進姿勢を露わにした。

 経団連は「資源が少なく再エネ適地に恵まれないわが国にとって、準国産の脱炭素エネルギーである原子力(原発)は極めて重要な選択肢」などとし「必要な規模を継続的に活用すべき」と主張。

 また「既存プラントの稼働期間を全て60年に延長したとしても、2050年には原発の設備容量は大幅に低下する見込みで、必要な規模の継続的活用を見据えれば、運転期間のさらなる延長はもとより、リプレース・新増設の方針を示すことが不可欠。原子力の継続的活用に向けた今後の道筋を早期に示していくべき」としている。

 経団連の主張からは、福島第一原発事故で多くの人たちの故郷を喪失させたうえ、自然界の生態系に多大な影響・被害を出し、現在も続く事故の深刻さからの教訓や反省に立脚した「原発に依存しない、原発依存度低減姿勢」が全く感じられない、経済効率最優先姿勢のうかがえる内容になっている。(編集担当:森高龍二)