岸田政権は菅政権を引き継ぎ、東京電力福島第一原発事故で毎日増え続ける放射性物資による汚染水の「処理済み汚染水」(ALPS処理水=トリチウムを含む処理水)を2年後には海洋放出する方針だ。
一方、20日、福島県入りした立憲民主党の枝野幸男代表は「地域の皆さんにろくに説明もせず、一方的に上から決めるやり方はダメだ」とし「政権を変えて、いったん(計画を)ストップさせ、一から地域の皆さん、水産業の皆さんに現状について説明していくところからプロセスを踏んでいきたい」と一端、計画をストップし、丁寧な説明のうえで最終決定していく考えを示した。
先月23日に仙台市を訪れた際にも、ALPS処理水の海洋放出に関して「本当に安全なのか、国民に理解をしてもらって風評が生じない状況をつくれるのか、もう一度、ゼロベースで考えるべき」と表明していた。
東京電力は政府の方針に従い、トリチウムを含むALPS処理水を二次処理し、海岸線から海底トンネルを通して1キロ沖合で海中に放出する計画で進んでいる。政権交代がなければ、予定通りになる。
海洋放出を巡っては日本の環境団体の連合組織・グリーン連合などが「汚染水には通常の原発からの排水と異なり、トリチウムのみならず、ヨウ素129、ルテニウム106、ストロンチウム90などの放射性物質が基準を超えて残存していることが明らかになっている」として強い懸念を示している。
韓国も海洋放出に懸念を示し「国際原子力機関(IAEA)など国際社会と協力し、汚染水処理の全過程を透明かつ、徹底的に検証する」考えを明らかにしている。国内地元の理解はもちろん、隣国の理解・納得を得る努力も、海洋放出をするなら、これまで以上に丁寧な説明が求められる。(編集担当:森高龍二)