自民公約「再稼働推進、必要規模持続的に活用」

2021年10月14日 07:01

 自民党は19日公示、31日投開票で実施される衆院選挙での公約を12日発表した。エネルギー政策では「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」「再生可能エネルギーを主力電源化する」とする一方、「原発を立地自治体関係者の理解と協力のもと、再稼働を進めます」と原発再稼働推進を明記。

 さらに「必要な規模を持続的に活用していきます」と書き込み、原発の新設・増設に道を開き「原発新型炉などの技術開発や人材育成を推進する」ことを公約にあげた。原発の安全性確保に関する対応では「実効性ある原子力規制を着実に推進し、原子力規制に対する国内外の信頼を回復する」としている。

 また東京電力福島第一原発事故で今も、毎日140トン増え続ける放射性物質による汚染水のALPS処理水(放射性物質のトリチウムは含んだままになっている)の処分に関して、菅政権は今年4月に「2年後をめどに海洋放出する」と決定したが、自民公約では海洋放出の文言は織り込まずに「ALPS処理水の処分については、漁業関係者を含む関係者への丁寧な説明等、必要な取組みを行いつつ、徹底した安全対策や情報発信等による理解醸成と漁業者等への支援、需要変動に備えた基金の設置などの緊急対策等の風評対策に取り組むとともに、必要に応じた追加対策も実施します」としている。

 現在、東電福島第一原発の敷地内に貯留されているタンク水(今年3月現在125万トン)の約7割にはトリチウム以外に規制基準値を超える放射性物質が含まれており、これらはさらに処理したうえでないと「ALPS処理水」に該当しないことになっている。ALPS処理水は「トリチウム以外の核種が環境放出の際に規制基準を満たした水のみ」とすると定義が変更された。

 一方、立憲民主党は「原発の新増設は認めず、具体的で不可逆的な方針をすみやかに確立し、国の監督と責任の下で廃炉を着実に進める」との原発への対応姿勢を公約。2030年までに温室効果ガスの排出を2013年比で55%以上削減することや、電源構成比率で2030年に自然エネルギーで50%、50年までに100%を目指すと明記した。

 またALPS処理水の海洋放出に関して立憲は「命と環境の安全に最大限配慮した復興を目指す我が党として断じて容認することはできない。政府が直ちに取り組むべきことは被害を受ける漁業関係者はじめ全ての国民の意見を真摯に受け止め、海洋放出について再検討を含めた対応を図るべき」(菅政権が海洋放出決定時)と慎重に対応を模索していくことを求めている。(編集担当:森高龍二)