新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言中に銀座クラブに深夜に訪れていた元自民党3議員=いずれも発覚後に自民離党=の内、大阪8区が選挙区だった大塚高司元国土交通副大臣は出馬することもなく、神奈川1区の松本純元国家公安委員長は小選挙区で落選、無所属のため比例復活も閉ざされ、議席を失った。
一方、奈良3区から出馬の田野瀬太道元文科副大臣は投票日の31日に自民党から追加公認を受けた。追加公認前から、自民は田野瀬氏に配慮し、候補者も擁立せず、父・良太郎元衆院議員(元自民党総務会長)の地盤で当選を続ける経緯があり、その地盤のうえで、今回も議席を確保した。
もともと奈良3区は自民党の奥野信亮候補の地盤でもあった。年齢で党規定により小選挙区から出馬し、有権者の審判を仰いで当選すべきだったにもかかわらず、前回選挙同様に今回も『特別扱い』で3区からは出馬せず、比例単独候補の筆頭に名を連ね、当選した。地元有権者のためには小選挙区で審判を仰ぐ勇気が必要だったはず。有権者の中には不満の声も。
この結果、田野瀬氏は当選。しかし、最も責任が重いのは、政権を目指すとしながら、3区に候補を擁立せず、共産党公認候補への推薦もしなかった立憲民主党。戦わずして田野瀬氏の当選を許した責任は重い。
立憲は奈良県2区に県議だった女性を候補に擁立し、自民党の高市早苗政調会長とぶつけたが、その戦法に勝機があるはずもなく、3区に擁立していれば、少なくとも事実上の「与野党一騎打ち」の構図はできた。
自民総裁選にも打って出た高市氏と戦うより、はるかに勝機もあったと思われ、選挙戦略のまずさが浮き彫りになった例といえよう。来年の参院選挙に向け、体制をどう立て直すのか、立憲には枝野幸男代表が語るように「自民党の岩盤の支持層と対抗できる力をつけないとならない。地に足着けた地道な活動を積み重ねること」が最重要だ。それは今から始めねばならないことだ。(編集担当:森高龍二)