EV成長の要因、国策、バッテリー、車種増加。カギはゾーンアーキテクチャの構築

2021年11月25日 06:57

画・EV成長の要因、国策、バッテリー、車種増加。カギはゾーンアーキテクチャの構築。

モレックスが自動車業界ステイクホルダーを対象に「自動車の電動化に関する世界規模調査」。成長要因は、国の政策、バッテリー技術の向上、車種増加。「5年内にゾーンアーキテクチャが主流に」8割超。

 コロナ禍で世界の自動車市場はEVへのシフトを加速している。自動車の電動化は単に内燃機関が電動機に置き換わるといった単純なものではないらしい。車の設計思想、生産体制や協働体系など自動車産業全体を大きく変革するものになるようだ。

 11月17日、米国に本社を置く総合コネクターメーカーのモレックスが世界の自動車業界ステイクホルダーを対象に実施した「自動車の電動化に関する」調査の集計結果レポートを公表している(回答者は北米、ヨーロッパ、中東、アフリカ、アジア太平洋地域の自動車関連企業、Tier1・Tier2サプライヤー、充電ステーション事業者の業務に携わる204名)。

 これによれば、回答者の94%が「電動化は電気モーターへの移行以外でも進展する」とし、93%が「電動化はさらに飛躍的に進歩する」と回答している。成長要因としては、「電動化を推進する国の政策」、「バッテリー技術の向上」、「電動・ハイブリッド車の車種増加」の3つが上位を占めている。

 電動化に伴うイノベーションの進展で進歩が期待されるものとしては、「自動運転・運転者支援機能」53%、「安全機能」43%、「総所有コスト」41%、「車両の充電時間」39%、「航続可能距離」37%などが上位に来ている。ただし「車両の充電時間」、「航続可能距離」、「自動運転・運転者支援機能」については「依然として課題が残る」という回答も見られたようだ。既に技術の進歩が認められる項目としては、「セルやモジュール単体、バッテリーパック全体」51%、「電気モーター 」47%、「パワートレイン系電子部品」45%などに回答が集中したが、「コントロールユニット」37%、「配線、コネクター、バスバー」34%、「カメラ、センサー」33%などでは苦戦している模様だ。84%の回答者が「早くて5年以内にはゾーン方式アーキテクチャが主流になる」と見込んでいる。これにより配線数が減らせるだけでなく、ECUの数も大幅に減らせるため車両全体の配線長や車重、コストの低減が実現可能となる。

 また、91%が「電動化に必要な専門技術者の獲得が困難」と回答しており、専門人材の獲得が課題となっている。自動車OEM各社からは「サプライヤーとの協働の強化がイノベーションを駆動する最大の力となる」との回答が多く、協働が電動化の成功に欠かせないカギとなっているようだ。一方、サプライヤー側からは「研究開発および設備への投資増強」が回答の上位となっている。(編集担当:久保田雄城)