国内EV普及進まず。充電器、戸建向けが大半。中国は充電器無償提供、集合住宅に設置義務化

2021年11月18日 06:18

画・国内EV普及進まず。充電器、戸建向けが大半。中国は充電器無償提供、集合住宅に設置義務化。

富士経済が「EV・PHV向け家庭用充電器の世界市場調査」。国内の家庭用充電器は戸建向けが大半。中国では無償提供が一般的、集合住宅に設置義務付け

 コロナ禍で様々な改革、ポストコロナに向けた動きが前倒しで進んでいる。世界の自動車市場はコロナ禍初年の2020年に販売台数が低迷したものの、欧州や中国を中心に、xEVへのシェア・シフトが急速に進み、20年秋以降の市場回復の中、各国のxEV支援策と相まって、この動きはさらに加速傾向にある。xEV普及には充電インフラの整備が必要となるが、日本はこうしたインフラ整備で遅れをとっている。日本の人口は都市部に偏っており、集合住宅に居住する者が多いということも充電設備の普及の遅れとも関係しているのかも知れない。

 11月4日、市場調査業の富士経済が「EV・PHV向け家庭用充電器の世界市場調査」の結果レポートを公表している。これによれば、21年における日本での家庭用普通充電器の普及動向はストック数ベースで20年比104.9%の6万1400台の見込みとなっている。中国では20年比140.2%の103万5000台、米国で同128.3%の64万7900台、ドイツは同160.2%の25万6300台となっている。人口比を考慮しても日本の家庭用普通充電器の普及は低水準で、日本より人口の少ないドイツの4分の1以下だ。また、伸び率も日本だけ1桁となっている。

 日本のEV・PHVの購入は戸建住宅の居住者が中心で、欧米中と比較して保有台数自体が少なく、設置済の家庭用充電器も戸建住宅向けが大半を占めており、普及も低水準にとどまっている。一方、中国では各国と比較しEV・PHVの所有者数が多く、メーカーが新車購入者に家庭用充電器を無償提供するケースが一般的で、そのストック数も世界最多となっている。また広東省など9省や一級・二級都市の18都市では、新築集合住宅の駐車場に充電設備の設置またはスペースの確保など充電環境の整備が義務付けられている。こうした諸制度を背景に中国では今後も高水準で家庭用充電器の普及が進むとレポートは予想している。

 35年における家庭用普通充電器の普及動向の予測は、日本が20年比10.2倍の59万4800台、中国が同17.9倍の1322万台、米国が同14.1倍の709万9000台、ドイツが同18.0倍の288万4000台となっており、日本と欧米中ではケタ違いに近い格差となりそうだ。日本より人口の少ないドイツ(約8300万人)の5分の1程度という予測だ。xEV普及には日本の住宅事情を考慮した何らかの支援策が必要なのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)