辺野古基地建設巡り 国・沖縄 対立激化

2021年12月10日 06:19

 沖縄県名護市辺野古への新基地建設をめぐり、国と沖縄県の対立が再び激化しつつある。沖縄県の玉城デニー知事は辺野古基地建設地軟弱地盤の整備のための計画変更を承認しなかったほか、米軍キャンプ・シュワブゲート前で開かれた4日の県民集会に顔を見せ「国の横暴に負けてはいけない」とアピールした。

 一方、政府は「日米同盟の抑止力維持と普天間飛行場の危険性除去を考え合わせると辺野古への移設が唯一の解決策との考えに変更はない(7日午後、松野博一官房長官記者会見)」と強調。辺野古基地早期実現へ工事を進める姿勢を少しも変えていない。

 防衛省は玉城知事が設計変更を承認しなかった対抗措置として国交大臣に「不承認取り消し」を求める行政不服審査請求を7日行った。松野官房長官は7日「今後、法律に従って手続きが行われるものと承知している。手続きを見守っていきたい」とした。

 ただ、玉城知事も指摘するように審査請求を受けた国交大臣は政府として辺野古基地建設推進の立場に置かれる内閣の一員だ。「審査庁として公平・公正に判断することは不可能」(玉城知事)。この仕組み自体、検討することが必要になっているといえよう。また国交大臣が知事の不承認を取り消すことになれば、最終、司法の場に持ち込まれることも予想される。

 松野官房長官は審査庁として公平・公正に判断することは不可能との声を踏まえた記者団の問いにも「国交大臣において、法律に従って手続きがなされるものと承知している」と述べるのみで、同一内閣で行政不服審査請求制度が使われる違和感に関して「法律に従って手続きがなされる」としか答えなかった。(編集担当:森高龍二)