2021年、喫茶店の休廃業・解散が過去最多を記録した。喫茶店の休廃業・解散、倒産はこれまでも大手チェーンやコンビニ・コーヒーとの競争激化の中、増加傾向で推移してきたが、コロナ禍での外出自粛や在宅勤務などで客足を奪われ、昨今の輸入コーヒー豆の高騰の痛手も加わり、21年には急増となった。
1月23日、東京商工リサーチが「喫茶店の休廃業・解散に関する調査」の結果レポートを公表している。これによれば、21年の「喫茶店」の休廃業・解散は100件、前年と比べ26.5%の大幅な増加となった。調査を開始した00年以降で最多だった18年の84件を大幅に上回っている。一方、倒産はコロナ関連の休業補償金や持続化給付金、ゼロ・ゼロ融資などの資金繰り支援が奏功したためか、61件と前年比8.9%の減少となっている。休廃業・解散と倒産の合計は161件となり、これまでで最多であった20年の146件を15件上回り過去最高を更新した。
ここ10年の推移を見ると倒産が12年に53件、21年に61件と微増傾向であるのに対して、休廃業は12年に34件、21年には100件と明確な増加傾向で、特に20年の79件から21年の100件は大幅な増加となっている。レポートは、「コロナ禍で生活様式が変化し、商談や時間つぶし、勉強などの需要も減っている」、「先行きが見えず、債務超過に転落する前に廃業を決断したとみられる」と分析している。休廃業・解散と倒産を合計した件数は、12年に87件、21年に161件と一貫した増加傾向が続いており、コロナ禍でさらに加速した形になっている。
業績の2極化も進んでいるようだ。「コメダ珈琲店」の21年3-11月の連結営業利益が前年同期比36.8%増の58億4700万円だったのに対して、「ドトール・コーヒー」の21年3-11月の連結営業利益は9億2100万円の赤字、「サンマルクカフェ」の同期決算は27億900万円の赤字、「喫茶室ルノアール」では6億6400万円の赤字と大手でも明暗が分かれているようだ。
今年に入りオミクロン株の流行が拡大し、「まん延防止等重点措置」が東京などに適用され、適用地域も拡大している。レポートは「とどめを刺すようにコーヒー豆や他の食材も高騰している」、「在宅勤務が増え、需要回復は期待できない。2022年は廃業だけでなく、息切れによる倒産増の可能性も高まっている」と指摘する。(編集担当:久保田雄城)