今年に入ってからのオミクロン株の流行でコロナ関連破綻が急加速しているようだ。世界的な経済活動の再開に伴う世界経済の回復を受け、日本経済全体としては回復基調で推移している。しかし、コロナの影響を受けている飲食、小売、宿泊、旅客運輸等の一部の業種では未だ厳しい状況が続いている。企業倒産については資金繰り支援等も奏功し、全体としては歴史的な低水準で推移しているものの、感染状況の影響が直撃する対個人サービス・消費部門を中心に、コロナ関連破綻は2021年以降増加傾向で高水準を維持している。景況、倒産状況ともに業種・業態間で大きな格差が見られるK字型回復となっているようだ。
東京商工リサーチが毎営業日に16時時点で判明したコロナ関連破綻件数を発表しているが、これによれば、2月10日16時時点での負債1000万円以上の「新型コロナ関連破たん」は全国累計で2757件、内訳は倒産2628件、弁護士一任・準備中129件となっている。同日時までに把握できた負債1000万円未満の小規模倒産も含めると新型コロナウイルス関連破たんは累計で2898件となる。コロナ禍2年目の21年は負債の返済もスタートとなり、売上回復見込みを超える返済が続く過剰債務状態の企業が増加し、2月以降の破綻は100件超えの状況が続き、9月以降は4カ月連続で最多を更新、12月には過去最多の174件を記録している。21年の年間件数は1718件に達し、前年20年の843件の約2倍に急増した。
今年22年に入り1月は113件と5カ月ぶりに前月を下回ったものの、1月からの感染者急増とまん延防止措置適用の影響もあってか、2月は10日16時時点までに91件が判明しており、単純計算すると2月は250件を上回るペースで、21年12月の過去最高174件を大きく上回る勢いだ。感染状況は概ねピークに達したようだが医療現場の状況は厳しくまん延防止措置の延長・拡大も実施されている。長引くコロナ禍で特定業種の企業体力は限界に達しており、過剰債務の中、債務が膨らむ前に事業継続を断念する「あきらめ型倒産」、「息切れ倒産」が急増している。
さらに、原価高騰や価格転嫁困難、人手不足など経営環境はさらに悪化している。レポートでは「業績不振の長期化で、過剰債務に陥った企業も目立っている。息切れやあきらめによる脱落を中心に、コロナ破たんは当面、高水準で推移する可能性が高まっている」と指摘する。特定業種の営業正常化を可能とする医療体制の整備が急務だ。(編集担当:久保田雄城)