全日本モトクロス選手権シリーズの第9戦、第1ヒートで「YSP・レーシング・チーム・ウィズ・N.R.T.」の成田亮選手が国際A級クラスでのヒート優勝回数で全日本選手権では前人未到の自己通算100勝を達成した。
国内の二輪車モータースポーツで先週の黒山健一選手(ヤマハ)に続き新たな記録が達成された。全日本モトクロス選手権シリーズの第9戦、第1ヒートで「YSP・レーシング・チーム・ウィズ・N.R.T.」の成田亮選手が国際A級クラスでのヒート優勝回数で全日本選手権では前人未到の自己通算100勝(国際A級125cc:5回、国際A級250cc/IA1:95回)を達成したのだ。さらに第2ヒートでも優勝し、2011年のIA1クラスのシリーズチャンピオンに決定している。
全日本モトクロス選手権とは、1967年からシリーズ戦が開始されたもので、起伏に富んだ地形を利用してコースを設定し、そこに人工セクションを設けたクローズドの周回コースで行われる。決勝は30分+1周の2ヒート制の伝統的なモトクロス競技で、IA1クラスは国内最高峰として位置づけられている。マシンは2ストローク250cc以下/4ストローク450cc以下のマシンを使用できるが、現在はほとんど4ストロークマシンが使用。レースには経験と実力を兼ね備えた日本のトップライダーが参戦しているため、拮抗した展開が多く、見どころ満載のクラスとなっている。
今回、100勝を達成した成田選手は、1995年に史上最年少(当時)で国際A級ライセンスを取得し、国際A級125ccクラス(現IA2クラス)に参戦を開始。この年5回のヒート優勝などでランキング2位を獲得すると、1996年から国内最高峰の国際A級250ccクラス(現IA1クラス)にステップアップ。その後も着実に成長を重ね、2002年には7勝を挙げ初のチャンピオンとなると、それから3連覇を達成して、名実ともに国内トップライダーの地位を確立した。
2005年には、世界トップクラスのライダーが集まるアメリカのAMA(スーパークロス/ナショナルモトクロス)に挑戦。2006年には全日本選手権に復帰し、この年はランキング2位となったが、2007年から成田選手にとって2度目となる3連覇を達成。2010年は通算89勝でシーズンを終えたという。そして2011年は、序盤2戦で2勝を挙げたものの、この時点ではランキング2位。しかし、その後は第3・5戦で両ヒート優勝など快調に優勝を重ね、第8戦MFJGPでは、第1ヒートで優勝して99勝まで記録を伸ばし、ランキングでもリードを開いた。そして迎えた第9戦九州大会、マディーの難しいコンディションのなか、第1ヒートを独走で優勝し、通算100勝を達成。その直後の第2ヒートでは、自身の記録を101勝へとのばすとともに、2011年のシリーズチャンピオンを決定している。
「今シーズンは、チャンピオンと100勝達成という2つの目標があり、正直とても大きなプレッシャーを感じながらシーズンを戦ってきたので、ようやくその重圧から解放されホッとしています。まず100勝ですが、1995年の初優勝がヤマハ、そして100勝目もヤマハという運命的なものを感じています。もちろんこれで満足しているわけではなく、次の目標も見えています。それは国際A級チャンピオン通算10回への挑戦であり、これを達成するために優勝回数も150勝まで伸ばしたいと考えています。これからも多くの声援をよろしくお願いします」と成田選手。「YSP・レーシング・チーム・ウィズ・N.R.T.」所属後は通算59勝をマークしているという。
ヤマハ発動機の中島雅彦部長は「100勝達成、そしてチャンピオンの獲得おめでとうございます。1995年以来、17シーズンという長いキャリアのなかでは、様々な困難があったと思います。成田選手は8シーズン、当社のYZシリーズで参戦していますが、今シーズンを含めて4度のチャンピオンと60回のヒート優勝を獲得しており、微力ながら記録達成の後押しができたと感じています」と喜びのコメントを出している。
今回、成田選手は100勝達成という偉業に加え、7度目のタイトル獲得を成し遂げたが「成田選手は日本のモーターサイクルスポーツを盛り上げていくことができる貴重な人材」と業界の期待も大きい。昨今、暗い話題が多い中、今後も多くのファンを魅了し、現役ライダーをはじめ、子どもたちに夢や希望を与えられる存在として、さらなる活躍を期待したいところだ。