9条枠内でも十分国を守ることはできる 奥野氏

2022年05月04日 16:10

 岸田文雄総理は3日、都内で開かれた憲法改正推進派団体「21世紀の日本と憲法(通称・民間憲法臨調)」(櫻井よしこ代表=美しい日本の憲法をつくる国民の会共同代表)主催の公開憲法フォーラムに自民党総裁としてビデオメッセージを送り「憲法改正に挑戦し続けなければならない」などと活動を後押しした。

 また憲法に政府権限を強化する「緊急事態条項」を創設することは「極めて重要な課題」とし、憲法9条(戦争の放棄規定)に自衛隊を明記する必要性にも言及し「早期の実現が求められる」などと述べたうえで「国民の理解を深めていかなければならない」とも強調した。このフォーラムには自民、維新、国民、公明の国会議員らが出席した。

 一方、都内では改憲阻止集会も開かれ、「改憲発議許さない!守ろう、平和といのちとくらし2022憲法大集会」には主催者発表で1万5000人が参集。共産、社民の党首や立憲の国対委員長ら国会議員らが出席した。

 立憲の奥野総一郎衆院憲法審査会野党筆頭幹事は改憲に前のめりに突き進む与党に対し「ウクライナの問題をだしに、改憲に突き進もうという姿勢は許す訳に行かいない」とアピール。

 奥野氏は時事通信のインタビューで自民党が改憲に掲げる自衛隊明記や緊急事態条項創設などに「自衛隊は合憲だし、今の9条の枠内でも十分国を守ることはできる。9条のいいところは世界レベルでの戦争に巻き込まれないことだ。(自民案は)その良さを失わせる」と断言。改憲の必要なしとしている。そのうえで「憲法の議論は腰を据え、じっくりやっていくのがいい」と答えている。

 社民党は「昨年秋の衆院選で改憲勢力が4分3を超えた。今通常国会では衆院憲法審査会が毎週開かれる事態となっている。改めるべきは日米地位協定。政治が全力をあげなければならないのはコロナ禍への対処とウクライナ戦争の停戦を求める外交努力」とし「7月の参院選で立憲野党との協力を深めながら、改憲勢力の議席を3分の2以下に抑え、平和憲法の擁護と暮らしに活かす政治を実現する」と決意表明している。

 共産の志位和夫委員長は「いま危機に乗じて、日本を守るためには力が必要だと言って、『敵基地攻撃』『核共有』『9条捨てろ』と大合唱が起こっているが、最大の危険は日本が攻撃されていないのに、米国が軍事行動を始めたら、安保法制=集団的自衛権を発動し、自衛隊が米軍と一緒に『敵基地攻撃』で攻め込む。その結果、その戦火が日本に及んでくる。これが、いま直面している最大の現実の危険ではないか」とアピール。

「9条を生かした外交に知恵と力をつくすのが政治の役割」と強調し「世界が誇る憲法9条を守り生かそう。この1点で力を合わせましょう」と呼び掛けた。(編集担当:森高龍二)