国葬=閉会中審査質疑で政府の論理破綻浮き彫り

2022年09月10日 09:51

 安倍晋三元総理の国葬儀をめぐる問題。8日行われた衆参での議院運営委員会での閉会中審査でも、岸田文雄総理の答弁からは、やらせてほしい思いばかりの感情的説明のみで、論理的には破綻。理解を深めるものではなかった。

 岸田総理は、立憲民主党の泉健太代表から衆院議運委閉会中審査で「国葬にするかどうか、選考基準を規定した法律があるのか」と質され「ご指摘のような法律はありません」と答弁。

 泉氏は「総理は(安倍氏を国葬儀にする理由に、総理としての在職期間が)戦後最長だから、数々の実績があるから、世界から弔意があるから、選挙運動中(の非業の死)だったから、と理由にあげた」と政府が国葬儀の根拠に挙げたポイントを指摘した。

 そのうえで「例えば、佐藤栄作元総理は、当時、戦後最長の在任期間であり、ノーベル平和賞を授賞している。でも、国葬ではなかった。これは、吉田茂元総理の国葬の反省も踏まえて、法律もない・選考基準もない、3権(司法・立法・行政)の長の了承が必要な国葬というものは、やっぱり難しい(ということで)元総理にどんな業績があっても内閣・自民党合同葬を行ってきた。その知恵や深慮遠謀を壊して国葬を強行しようとしている。これが、総理、あなただ」と事の重大な判断ミスを訴えた。

 岸田総理は「国民に更なる義務を課すとか、行為(弔意の表明・半旗や黙とうなど)を強要するということでもない限り、具体的な法律が必要ないという学説に基づいて、政府としても考えた」と政府にとって都合の良い『学説』に頼った。

 都合の良い学説利用は安保法制定に集団的自衛権行使を一部容認するため、憲法学者の少数派説を利用した安倍内閣と同じ手法で評価できるものでない。岸田総理は「その時の国際情勢、あるいは国内情勢、これによって評価は変わる」などと答弁した。

 泉氏は「それなら、なぜ、これだけ(国民が)反対しているのでしょう。総理があげた4項目、真に国民が理解できるものであれば、ここまで反対にはならないんじゃないか」と追及。

 「経済再生と言っても賃金は下がり続けたじゃないですか。森友・加計問題で100回を超える虚偽答弁をしたことが大きく問題になっているじゃないですか。自民党の中で、最も旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係を取り仕切ってきた、(安倍氏は)そういう人物じゃないですか。負の部分を全く考慮せず、国際情勢・国内情勢では、国民は納得しないと思いますよ」と主張。納得できた国民が増えたと思えず、この質疑で、政府側の説明に論理的に無理があることが浮き彫りになった。(編集担当:森高龍二)