昭和の娯楽の王様と呼ばれたパチンコ店は、1980年代に大ブームとなったものの、95年の1万8000店をピークに、その後減少の一途をたどり、2019年には1万件を割り、ブーム前の水準を下回るまで減少している。近年では18年の遊技機規則改正に伴う新規則機への入れ替えが大きなコスト負担となり、閉店・廃業の勢いは加速していると言われてきた。さらに20年以降は新型コロナの影響で客足が落ち、新規則機導入のコスト負担が経営を圧迫するなか、営業の継続や新規出店をあきらめる企業が相次ぎ、閉店率も19年までの6%前後から20年には8%台へと急増している。
8月25日、矢野経済研究所が「全国パチンコ経営企業の店舗戦略、及びパチンコホールの出店トレンドと閉店実態に関する調査」の結果レポートを公表している。これによれば、21年末のパチンコホール数は8139店となった。20年末に営業していた店舗8778店のうち21年末までに閉店した店舗は745店で、閉店率は8.5%となる。
過去5年の閉店率を見ると、17年が6.0%、18年は6.1%、19年5.7%、20年8.1%、21年8.5%と19年までの6%前後から20年以降は8%台へと急増している。レポートでは、この閉店率急増の背景を「コロナ禍での集客低下や遊技機の規則改正による新規則機への入れ替えが影響した」と分析している。新規則機への入れ替えに伴う多額のコスト負担で経営が圧迫され新規出店が抑制されたとともに、新規則機導入を断念したホールの閉店・廃業が相次いだようだ。また、コロナ禍でパチスロ6号機の業績も振るわず客足も低迷し、既存店のみでなく、本来は集客が期待できるはずの新規店でも稼働率が落ち込んでおり、新規出店しても業績を期待できない厳しい市場環境となっているようだ。
2021年末時点で10店舗以上を経営していた上位170グループで見ると、過去10年間で店舗数が減少となっているグループの比率は48.2%と約半数に達している。店舗数が多い上位グループのみの集計にもかかわらず店舗数減少が半数のグループに達しており、レポートは「業況の厳しさが示された」としている。新規則機の移行期限は22年1月末となっていたため、22年に入ってからも閉店が相次いでいるようだ。パチンコホール経営企業は3月決算が多く、期末を機に閉店するケースもみられた。22年も新規則導入の影響が残り、閉店率も高止まりを続ける可能性もある。(編集担当:久保田雄城)