昭和の大衆娯楽の王様と呼ばれたパチンコ店は戦後のブームが終わった後、長らく1万店前後で推移していたが、1980年代に2度目のブームが起こり店舗数は拡大傾向となった。しかし、そのギャンブル性が社会問題化するなどして、警視庁のデータによると1995年の1万8244店をピークに減少の一途となり、2019年には1万店を割る水準まで落ち込んでいる。18年には遊技機に関する規則の改正が行われ、パチンコ事業者は22年1月末までに新規則に対応した遊技機(新規則機)への入れ替えが求められることになった。これにより多額の入れ替え投資が必要となった上に、集客力の弱い新機種への入れ替えで客足も落ち、これが経営を圧迫すると見込まれていたところに、コロナ禍での営業規制が追い打ちをかけ、小規模事業者を中心に事業から撤退するケースが増えているようだ。
5月25日、矢野経済研究所が「全国パチンコ経営企業数及び店舗数に関する調査」の結果レポートを公表しているが、これによれば21年12月末現在のパチンコホール経営の企業数は前年と比べ230社減少し2347社となった。ここ10年の推移を見ると、13年以降に年間100社を越えるペースの減少となっており、規則の改正が行われた18年以降は年間200社超えの減少と減少速度は加速している。店舗数で見ると、21年12月末時点で8139店となっており、前年の8778店から639店減少し最少記録を更新し、16年12月からの5年間で見ると2539店の減少と減少傾向は加速している。
一方、21年の新規出店数は93店と低水準が続いており、前年と比べて33店少なくなっている。出店についても新規則機への入れ替えによる収益低下が影響している上に、20年以降はコロナ禍の影響で計画されていた新規出店が延期・中止となったケースも少なくないようだ。
22年は新規則機移行の完了により多額の投資費用もなくなるため、経営環境の改善が進み、倒産・廃業は減少するとレポートでは見込んでいる。パチンコホール経営企業数は引き続き減少傾向で推移すると見込まれるものの減少スピードは鈍化する見通しだ。また、新規出店については、新規則機移行が完了したことにより、出店意欲が旺盛な事業者を中心にある程度の回復が見込まれている。しかし、収益性の低い小規模店舗などを中心に引き続き淘汰が進むと考えられ、新規出店数が閉店数を上回ることはなく、今後もパチンコ店の減少傾向は持続する見通しだ。(編集担当:久保田雄城)