少子高齢化の進展で年金を初めとする社会保障の資金繰りは逼迫している。さらに人生100年時代とも言われ、医療の発展により高齢者は元気で寿命も長くなっている。若い世代の負担を軽減するためにも年金制度や定年制度の抜本的改革が必要だ。既に昨年2021年には高年齢者雇用安定法が施行され、企業に定年制の廃止・引き上げの努力義務が課された。さらに、今年4月からは年金制度改正法が施行され在職定時改定制度の導入で70歳までの雇用継続がさらに進むと見込まれている。エン・ジャパンの調査によれば、これらの制度改革に対し8割以上が「賛成」と回答しており、この制度改革は概ね好評のようだ。
10月30日、エン・ジャパンが7~9月に自社サイトを利用する35歳以上のユーザー2376名を有効回答として実施した「年金受給・定年延長などの法改正」に関するアンケート調査の結果を公表している。これによれば、年金制度改革の認知度についてみると、「名称だけ知っている」が56%、「内容を含め知っている」は14%と7割が改正自体は認知しているようだ。継続雇用制度の導入については、「内容を含め知っている」は15%、「名称だけ知っている」は50%で認知度は65%と半数を超えている。しかし、年金改正も定年延長も内容まで知っている者は2割未満にとどまった。
法改正の内容について説明した上で、これらの制度改革、環境整備政策について聞いた結果では、「賛成」35%、「どちらかといえば賛成」46%で、合わせて81%が賛成と回答している。「何歳まで働きたいか」との問いには、「61歳~65歳まで」28%、「66歳~69歳」11%、「70歳」21%、「71歳以上」20%となっており、「61歳以上」と回答した割合は80%となっている。「定年延長して働きたい理由」については、「年金だけでは生活できない」が63%でトップ、次いで「定期収入を得られる期間が延びる」52%、「健康・体力維持のため」51%となっている。年収1000万円未満の者に限ると、トップの「年金だけでは生活できない」は71%と7割を超え、多くの者が経済的理由から定年延長を望んでいるようだ。
定年延長による影響については、「意欲的な高齢者が増え、健康寿命が延びる」43%などプラスの側面が指摘される一方で、「ポストが空かず、後進の昇進を阻んでしまう」33%、「若者の雇用や、活躍の場を奪ってしまう」30%といったマイナス面を指摘する者も少なくない。高齢者と若年層の活躍が両立できる人事・労務体制が今後求められる。(編集担当:久保田雄城)