立憲民主党の蓮舫元行政刷新担当大臣は党代表だった枝野幸男衆院議員が12日のさいたま市内での講演で、昨年10月の衆院選で消費税減税を訴えたことに「政治的に間違いだったと反省している。敗因の一つ」として見直すべきとの考えを述べたとする報道を受け「間違いかどうかはわからないが、国の予算、その財源が決定的に不足している事実から目を背けてはいけないと思います」と13日ツイッター発信した。
蓮舫氏は消費税について「増税はしない」とし「同時に、所得税に金融所得課税等の税制を徹底的に見直すことで格差を縮小することが優先事項」との考えを示した。
消費税減税を巡っては昨年9月8日に「所得・法人・資産税制と社会保険料負担の見直し、消費税減税を行い、富裕層負担の強化など公平な税制を実現し、低所得者層や中間層への再配分を強化する」として、立憲・共産・社民・れいわが共通政策の一つに挙げ、衆院選を戦った経緯がある。
蓮舫氏が指摘するように、消費税に手を付けるより「金融所得課税等の税制を徹底的に見直すことで格差を縮小することが優先事項」であることは間違いない。
駒沢大の小栗崇資名誉教授が企業統計年報最新版(21年度)から赤旗10月2日日曜版で示した資本金10億円以上の大企業(金融を除いた)5000社の内部留保(利益剰余金)は256兆円に上り「全法人(280万社)の内部留保(516兆円)の半分を占めている。
アベノミクスの下、12年度の内部留保が143兆円から21年度には256兆円に激増した。背景に法人税減税と人件費抑制があると指摘した。
小栗氏はコロナ禍前の18年度とコロナ禍後の21年度の業績も比較。大企業5000社の売上は589兆円から543兆円に減ったが、営業外収益は17兆円から21兆円に増え、当期純利益も39兆円から41兆円に増、株主配当も19兆円から22兆円に増やしていた。内部留保は234兆円から256兆円になった。
一方で、従業員の給与は34兆円から34兆円と変化なく、増えていない。この間の19年10月には消費税が10%に引き上げられた。14年4月の消費税8%へのアップに続く増税で、小栗氏は「人件費抑制と法人税減税、消費税増税の抱き合わせ実施が進められ、増えた内部留保の大部分は労働者の犠牲と国民負担から生まれたものといわなければならない」と論じた。
岸田内閣は自民総裁選で掲げた「所得倍増」を総理就任後には「資産所得倍増」にすり替え、金融所得課税の課税強化どころか、個人の現預金の半分(1000兆円)を株式市場などへ投資に向けさせるための政策を進めるために優遇策まで進める勢い。岸田政権では格差が一層広がることになりそう。(編集担当:森高龍二)